猟師と虎の仙人
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彼はそれを受けて話はいzめた。
「私の名は稽胡。ここで猟師をしておるます」
「稽胡とな」
「はい」
「ふうむ」
彼はそれを聞いて何やら思うところがあったのか書を開いた。そしてその中を見た。
「すまんのう」
そして急に彼に謝った。
「どうしたのですか!?」
「いや、実はな」
「はい」
「お主はわしの食べる中に入っておるのじゃ」
「えっ!?」
稽はそれを聞いて思わず声をあげた。
「今何と」
突然のことなので流石に言葉を失っていた。
「いや、本当じゃ。ここに名がある」
そう言って指で指し示しながら見せる。だが稽は字が読めない。
「おっと、すまん」
彼はそれを見て謝った。
「だが本当なのじゃ。虎は人間を食べるからな。その逆もあるが」
「何と・・・・・・」
最早呆然とするしかなかった。何も言えなかった。
「ではそこに大人しくするがよい」
仙人は彼に対してそう言った。
「噛んだりはせぬ。丸呑みじゃ。仙人じゃからそれで済むからのう」
「しかし・・・・・・」
「悪く思うな。これも運命じゃ」
「私はまだ死ぬわけにはいかないのですが」
「どうしてじゃ?」
仙人は動きを止めて問うた。
「家にはまだ家族がいるのです」
「家族が」
「はい。年老いた両親が。二人共私がいないとどうなるか」
「それは困るのう。じゃが運命は運命じゃ」
「そこを何とか」
稽は頼み込んだ。
「して欲しいか」
「はい」
彼は仙人にそう答えた。
「わかった。では何とかしよう」
「方法があるのですか」
「うむ。ないことはない。じゃが」
仙人はここで難しい顔をした。
「ちと値が張るぞ。よいか」
「値がですか」
「ぞうじゃ。まずは絹を一匹」
「あります」
たまたま獲物と交換でもらってきたものであった。
「豚の血を三斗」
「あります。隣が豚を養殖しておりますので」
「おお、そうか。それはいい」
仙人はそれを聞いて満足そうに笑った。
「この二つが揃えば後は一つだけじゃ。それはこの二つより揃えるのがずっと楽じゃ」
「何でしょうか」
「藁人形じゃ。お主の背丈程のな。それは簡単じゃろ」
「はい」
稽は答えた。
「家の裏に行けば幾らでも」
「よしよし」
仙人はまた満足そうに頷いた。
「お主は運がよい。そうそう揃えられるものではないぞ」
「はい」
「あとは藁人形にお主の服を着せるだけじゃ」
「わかりました」
「明日お主の家に行く。よいな」
「私の家にですか」
「そうじゃ」
仙人は答えた。
「血を三斗に絹を一匹、そしてお主程の大き
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