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SAO−銀ノ月−
第椅子取話
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導で、マサキとシリカたちが病院へと入っていく。これで自分たちを入れて10人と、菊岡さんに頼まれた人数まであと2人だ。俺が頼んでいたメンバーは全員集まったが、あとはシリカとリーファ、ひより以外にリズが呼んだメンバーか。

「リズ、大丈夫そうか?」

「んー、どうせあいつが寝坊でもしたんでしょ。もうすぐ来るわよ」

 流石は幼なじみ、よく分かっていらっしゃる。そうリズが言っていた通り、しばらく経った後にバスから全速力で二人の男女が走ってきていた。

「ごめんリズ、遅くなったわ」

「大丈夫よー、リクヤが寝坊するって思ってたから」

「否定出来ねぇ……」

 少し遅れて来た最後の組はリクヤにユカ。リズの幼なじみにアスナの姉と、世間は狭いと感じさせてくれる二人組だった。リクヤは深呼吸一つで乱れていた息を戻してみせ、ユカはまだ肩で息をしながら顔に浮かんだ汗をハンカチで拭いていた。

「というかユカ。誘っといてなんだけど、あんた実家の方で何かあるんじゃないの?」

 だからこそ、アスナは今日欠席な訳だが。確かにそのアスナの姉である彼女は、この場にいても大丈夫なのだろうか。

「体調不良よ」

「…………」

 今し方バスから全速力で走ってきた彼女は、息を整えながら顔色一つ変えずにそう言ってのけた。

「体調不良」

「……うん、分かったわ」

 そういうことにしておく。この世には知らなくていい事もある、ということの一例だ。とにかく、参加者はこれで12人。全員集合したことになる。俺とリズは受付の仕事を終えて、リクヤにユカを連れてアミュスフィアのある部屋へと向かった。


 ――そして病院のある一室では。

「いいのかい? 君もプレイヤーたちに混じってもいいんだよ?」

「いや、情報屋にはこっちがあってるもんですからね」

 市販の物と変わらないアミュスフィアに、データ収集用の機材がコードを通して繋がっていた。そんなアミュスフィアを被った少年と、くたびれたスーツを着た菊岡誠二郎が会話していた。

「まあ、それを頼んだのはこちらだし、君がいいならいいんだけどね」

 菊岡誠二郎は実際にプレイするプレイヤーとして、ショウキたち12人に仕事を頼んだのと同時に、それらの情報を仕入れてまとめる役割を担う者も頼んでいた。要するに、その仮想空間で行われることのサポート役、とでも言うべきか。本来ならば、菊岡や対策本部の人間がやってもいいのだが、ここまでくれば全て『仮想空間慣れ』している人間に任せることにした。……それに、この実験に妨害が来ないとも限らない。

 彼のSAOでのプレイヤーネームは《ホーク》。かの《鼠のアルゴ》の唯一の弟子として、あのアインクラッドを情報という武器で戦った、12人のプレイヤ
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