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SAO−銀ノ月−
第椅子取話
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協力を取り付けることができ、シリカやリーファなど、おそらく大丈夫であろう人物への連絡を任す。あとはレコンなども来れるだろうか。

「じゃあ頼むな」

『ん。またねー』

 里香との電話が切れると、また次の人に電話――するより早く、少々空腹の為に腹ごなしをすることに決める。こんなことなら、菊岡さんに奢ってもらえば良かった――と思いつつ。どこもかしこも高い店ばかりで、ファミレスもファストフードも見つからない。


 ――さて、菊岡さんに頼まれた当日。俺と里香は、かつてアスナが入院していた、所沢総合病院へ訪れていた。なんとここからその仮想空間にログインするらしく、菊岡さんがある部屋を貸し切りにしたのだとか。……随分とお金持ちというか、予算が潤沢である。

「はい、クラインさんとエギルさんご案内ー」

 バイトを誘った当人として、俺と里香は受付の役割を果たしていた。仕事の合間を縫って来てくれた、クラインとエギルのタクシーが第一号であり、大人組として菊岡さんへと話をしにいく。子供のバイトと同額という訳にはいくまい。

「あら、団体様」

 次に来たのは、バスで降りてきた少年少女四人組。男女比率1:4の羨ましいパーティーだった。

「随分羨ましい限りだな、レコン」

「ハハ……」

 力なく笑うレコンこと長田慎一を見ると、どうにも当人の立場となるとそうでもないらしい。男どもが暗い雰囲気で励まし合っているなか、女性の方々はかしましく雑談に興じていた。

「里香さん、今日はありがとうございます!」

「お礼なら翔希に言ってよね」

 受付に来て歓談に興じていたのはシリカにリーファ。そしてもう1人。そのもう1人はその里香の言葉を聞くと、トコトコと俺とレコンの方へ歩いて来ると、キッチリ90°で腰を曲げて礼をした。

「ありがとうございました、ショウキさん」

「いや、そんな大げさな……」

 柏坂ひより。SAOでは《ルクス》という名前でプレイしたSAO生還者の1人であり、同名でシルフのプレイヤーとしてALOをプレイしている女性プレイヤーだ。最近SAO生還者学校に転入してきた、リズやシリカ、リーファの友人だ。ふわっとしたボリュームのある長髪に、スタイルのいい体格をしており、性格は……

「キリトさまはいないんですね……」

 キョロキョロと辺りを見渡していると、セットされているんだかされていないんだか分からない髪がフヨフヨと揺れる。……この通りマイペースというか、なんというか。

「お兄ちゃんは実地研修で東京にはいないんですよー」

 自分と同じくナノカーボン竹刀の誘惑に負けた直葉が、ひよりの肩をポンと叩いてそう伝えると、ひよりは残念そうに肩を落とす。そして比喩表現ではなく、本当にシナシナと萎れ
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