第椅子取話
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が甘味を食べるのも中断しそう断言する。そう言われれば、もう追求出来ず――する気もなく――コーヒーを口に運ぶ。
「……キリトにも似たようなこと頼んだとか?」
代わりに、少し気になったことを問う。なんでもキリトもある仮想空間にログインして欲しい、というバイトの依頼を受けたらしい、という話を聞いた。そのキリトは、今は学校の実地研修だかで東京にはいないのだが。
「そうだね。今回、君たちにテストしてもらう仮想空間の完成系を、キリト君にログインしてもらうことになっているよ」
その質問は別に答えられる範疇なようで、菊岡さんはあっさりとそう答える。それ以上のことは興味はなく、さらに入り込んだ話へと移行する。ズバリお金のこととか。最近気になっている、ナノカーボン竹刀とかが買える値段なのか否かというか。
「人数は?」
「君を入れて12人くらいかな。お金はっと……」
菊岡さんがどこからか取りだした旧式の電卓が、カタカタッターンと無駄にリズミカルに音をたてながら叩かれていき、俺の元に差し出された。飲んでいたコーヒーカップを机の上に置くと、代わりに電卓を取る。
「口封じ分も兼ねて……お一人様これくらいでどうだい?」
……とりあえず一人の参加は決定した。ナノカーボン竹刀が欲しい方、お一人様ご案内。
「じゃあその日に。今日はありがとう、一条くん」
増え続ける甘味を食べ続ける菊岡さんに別れを告げると、十二人……いや、十一人の参加してくれそうなメンバーを、頭の中でリストアップしていく。キリトもアスナも東京におらず、桐ヶ谷夫妻が参加できないのは残念なところだが、学校の実地研修と実家の都合なら仕方ない。
「さて……」
とりあえず、使い古した携帯の電源が入ったことを確認すると、さっさと彼女へと連絡をかける。2、3回のコール音がした後に電話が繋がった。
『もしもし?』
「もしもし、里香?」
『よろしい』
リズ、と言わずに里香、と言ったことで妙に偉そうに返された。それでも、たまにリズと言ってしまうのだが……まあ、今はそんなことは関係ない。手早く用件を済ませようと、菊岡さんと会話したバイトの件について話していく。……かなり良い食いつきようだった。
「……っていうバイトだ」
『へぇぇ……相変わらず胡散臭いのねー』
それと率直な感想を頂いた。その感想には激しく同意しつつ、他に参加してくれそうな人を探していく。
『あと十人ねぇ。クラインやエギルは仕事だし……』
「大人のデータも欲しいから、出来れば誘ってくれとは言われてるんだけどな……6人くらい誘うの、任せていいか?」
『オッケー。あたしはシリカやリーファに声かけてみるね』
ありがたいことに里香の
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