肝試しとキャンプファイアー
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よ」
「(鳴滝。あの娘は今、窮地に立たされようとしている。
それを救えるのは考えがあるお前だけなんだ。だから…」
「「「(頑張れ」」」
頑張れ、か。
そんなこと言われたのは物凄く久しぶりだな。
責任、とらにゃならんよな。
手を出すなら終いまで…婆さんも良く言ってたっけか。
俺は俯いていた顔をあげ、割って入るタイミングを探る。
葉山の言葉で瑠美ちゃんへと注がれた多くの視線に込められているのは、
哀れみのように同情する物ではなく、明確な敵意のようなものを感じとれた。
「留美ちゃんは皆からのけものにされている。
留美ちゃんはそれで悲しい思いをしているんだ。俺はこの林間学校で見ていて気がついた」
「鶴見さん、本当なの?」
先生が瑠美ちゃんに問いかけてる。
この事態について先生は知らなかったようだ。
まぁ、知っていたらそれで問題なのだが。
先生瑠美ちゃんの手を握り、葉山の隣まで連れてくる。
その光景は公開処刑のように、貼り付けにされたイエスの様に…子供たちの視線をその身に注がれ、瑠美ちゃんはカタカタと震えているようだった。
「みんな!瑠美ちゃんは皆の友達で、仲間で、学校の家族なんだ!
それなのに、それなのにこんな可哀想なことをしているのを見るのは…俺は悲しいと思う!」
子供達は瑠美ちゃんに視線を注ぐ。
その視線は明らかに異物を見るようなものだった。
葉山は瑠美ちゃんの肩に手置く。
それはまるで、瑠美ちゃんをその場から逃がさないようにするための行動に見えた。
俺は怒りで動きたい衝動に駆られるが、何とか押し留め、タイミングを伺う。
握られた拳からは血がポタポタと垂れている。どうやら強く握りすぎたようだ。
「みんな頼む!
留美ちゃんと仲良くしてあげてほしいんだ!これが俺が出来る精一杯のことだ…どうか、お願いだ」
葉山の演説が終わると同時に子供達が声を上げる。
引率の先生はハンカチで涙を拭っており、隣にいる葉山も誇らしげな顔で立っている。
そう、ここなんだ。タイミングはオーケー……後は怒りと憎しみと怨みを混めて……この血が滴る拳を――――――!
「ぐぁっ!」
バキィ!
拳は、葉山の顔面を捉えた。
葉山は地面を転がり、それを見送った俺は瑠美ちゃんに手を伸ばす。
「お兄さん…」
「良く頑張った。偉いよ」
俺は血が出てないほうの手で瑠美ちゃんを撫でてやる。
瑠美ちゃんは緊張が解けたのか、涙を流して泣き出してしまった。
「鳴滝……お前ぇ……」
葉山は起き上がり、俺を睨み付けている。
その目にはハッキリと『憎悪』が現れていた。
「雪ノ下。瑠美ちゃんを頼む」
「了解よ」
俺は後ろに控えていた雪ノ下に瑠美ちゃん
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