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【銀桜】5.攘夷篇・第一部
第1話「心から笑うとスッキリする」
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人の間に険悪な雰囲気が漂う。だがそれでも双葉は怯む素振りを全く見せない。
「もう待ってるだけなんて嫌だ。戦いもせず、のうのうと暮らしている自分が卑怯者に思えて仕方ない」
「何言ってやがる。オメーはいつも戦ってんだろ」
 文句をこぼすように言われたその一言に思い当たる節がなく、双葉は首を傾げた。
 見当がついてない様子の彼女に、兄は妹の役目を告げる。
「俺たちが帰るまでお前がメシ作って砦護ってっから、俺たちは胸張って戦えんだ。テメェだけ何もしてねぇって勘違いしてんじゃねぇ」
「違うんだ兄者。私にとっても、みんなにとっても、砦は大事な場所だ。だけど――」
 そう言って改まるように目蓋を閉じる。
 そして双葉の瞳は真っ直ぐに銀時の眼を捉えた。
「私はみんなの笑顔を護りたい。昔みんなで笑ってご飯を食べたようにまた……。でも待っているのは笑顔が消えるのを見過ごすのと同じことだ。もうこれ以上笑顔を消させやしない。だから私は戦うと決めたんだ」

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 揺るがないその瞳は彼女の決意の固さを表していた。
 臆さない姿に相応しい凛としたその表情を見て、銀時は頭を掻いた。
「だからってよ、双葉――」
 銀時は気だるそうな溜息をして





























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 くいっと口元を持ち上げて無理矢理作った双葉の『笑顔』は、言うまでもなくおかしな顔で、銀時は一人ゲラゲラと笑い始める。
 その途端、双葉には怒りがこみ上げた。けれど同時に不意を突かれた恥ずかしさも生まれてしまい、そんな彼女からも自然と笑顔がこぼれた。
 二人の笑い声が小高い丘を包んでいった。

――兄者はいつも暖かい光で私を照らしてくれる。それは空に浮かぶ太陽のように。
――この(ともしび)を絶対に消させやしない。
――だから私は戦う。
――みんなの笑顔を護るためにも、決して負けるわけにはいかない。

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 そう少女は心に誓っていた。

 『血の味』を知るまでは。

=つづく=?

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