出撃
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二日後 ラー・デルス
「なぁ、少しは話聞いてくれんかなぁ、フヅキ」
それを聞いたフヅキは汚物を見る瞳でカペルを見た。
まぁ、綺麗な瞳なのでカペルはなんともない様子でそれを見ていたが内心、
(やっべー、このせいで俺、訴訟起こされてビスト財団から追い出されて破滅すんじゃねぇか!?)
と思っていたのは秘密である。
「あんなこと言って悪かったよ。俺は褒め言葉のつもりで言ったんだぜ?」
「いきなり胸が大きいなアンタっていう人がいますか!?普通!?」
「見た目より少し年いってんだよ!ちょっとしたジョークとして受け取れねぇのか!?」
舞台は二日前、カペルがラー・デルスに入ったところから始まる。
あの後すぐにカペルスウェイトがデッキに運び込まれ、微調整をしていた時だった。
長時間追加装備を組み立て、更にジェガンの整備をしていたら、フヅキが片手に差し入れを持って現れたのだ。
「どうぞ」
「お、ありがとう。気がきくなぁ、アンタ」
「フヅキです。ついでに言いますが、私の方があなたより階級は上です」
「え?マジか。どんぐらいだ?」
「中佐です」
「へぇ、高給取りで美人で気遣いできて胸デケェってあんたいい嫁さんに…………」
ビシッという音が聞こえた。カペルはその音がフヅキの方からしたため、そちらを見た。
見ればフヅキの顔は真っ赤に染まっている。
「今、胸がなんて言いました?」
「ん?胸がデケェって。あ、そうだ。別に隠す必要もないんだからタブレットどかしたらどう、ぶべらっっ!!」
フヅキ渾身のタブレットの一撃が、カペルの顔面にクリティカルヒットした。
「おま、ちょ、何すんだよ!!痛いじゃねぇか!!」
「胸のこと撤回してください!!こう見えてコンプレックスなんですよ!!」
「そんなたかが胸のことで、ウゴォ!!」
もう一回、今度は顔面ではなく、正真正銘男の魂にフヅキの蹴りが炸裂した。
「二度と!言わないでくださいね!」
「ふぁ、ふぁい…………」
ということがあった。
それ以来カペルはそのことを言っていないのだが、その場にいた整備兵からいろいろ伝わってしまったらしい。
ついでに噂だが、すでにそいつらの魂は使い物にならなくなるほど蹴りを受けたらしい。中には新しいものに目覚めてしまった奴もいるらしく、
「ブヒィィ、もう一回お願いしますゥゥ!!」
というのを一室から聞いた奴がいるらしい。恐るべし、フヅキの蹴り。
「あーもうわかった!!しちまったことに対するけじめはつける。それでいいだろ?」
フヅキは相変わらずタブレットで体の前面を隠しながら、嘘つきを見る目でこちらを見ていた。
「でぇじょうぶだよ!!そんぐらいの約束守んなきゃ男じゃねぇ」
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