四十五話:壊す覚悟、揺れる思い
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違うものとなった。ルドガー達が勝ったのだ。その事にデータが違うとオーディーンは呟き、エルのデータを採取する。そして原因がエルだと分かるとエルに襲いかかって来るが、骸殻に変身したルドガーによってあえなく止めを刺されてしまう。
『違って当たり前だ。前に来たのが俺であっても……そいつは俺じゃない!』
『これが真のクルスニクの……すまない……トールの人々よ』
最後にトールの人々に謝りながらオーディーンは黒い霧となって消えていく。ルドガーはそれを見届けるとすぐに世界が壊れる中、エルの―――何よりも大切なアイボーの元に駆けよっていく。
正史世界に戻ると、エルは無事に目を覚ましてルドガーに抱かれる自分を見てポツリと呟く。
『エル、赤ちゃんじゃないよ……』
しかし、その時、雷が鳴り響きエルはルドガーの胸の中に思わず避難してしまう。そんなエルを見かねたルドガーは雷が聞こえないように、俺が守ってやると伝える様にエルの耳に優しく自分の手を添える。
『ルドガー……?』
『俺も雷が苦手でさ。兄さんがよくこうしてくれたんだ』
『ふーん。優しいんだね。メガネのおじさんも……』
そう言ってエルも同じようにルドガーの耳に手を添えて何やら顔を赤らめて小声でつぶやく。それに対して読唇術なんてものを持っていないルドガーは何と言ったか不思議そうにしていたが、まあ、エルの可愛い顔が見れたからいいかと考えるのをやめてエルを抱きしめる。因みに黒歌達はエルが何と言ったかはわかったが微笑ましい顔をしてあえて口にはしない。エルが内緒にしておきたいのだから内緒なのだ。そんな和やかな雰囲気が流れていたのだが二匹の猫の出現により空気は一変する。
『ちょっ! なにそれ!?』
『えーーー!』
『ルルが二匹!』
なんとそこに居たのは微妙に泣き声が違うものの瓜二つの二匹のルルだったのだ。驚くルドガー達と同様にルル達も自分に驚いたのか近づいて匂いを嗅ぎ合うが突如として片方のルルが薄くなって消えていく。
『き、消える! ひょっとして、この子は―――分史世界のルル!?』
ミラがそう叫んだときには片方のルルは完全に消えていなくなって一匹のルルが寂しげに鳴くだけだった。そしてそんな二匹のルルの結末にヴァーリはある結論に達する。
「正史世界では同じものは存在できない……というところかしら」
そしてそれはミラも同じだったらしく茫然としながらもたどり着いた結論から自らとミラ=マクスウェルも同じように同時に存在できないのではないかと考える。
『ミラ?』
『…っ! ど、どうしたの、ルドガー?』
『いや……顔色が悪そうだったからさ。今日は早く帰って宿で休もう』
『別
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