四十五話:壊す覚悟、揺れる思い
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この世界を壊すという事はそれら全ての想いを踏みにじるという事だ。自分一人の身勝手の為にそれを壊すということが改めてルドガーに突き付けられる。
『クルスニクの末裔よ。どうか、残された希望を破壊しないでくれ』
懇願するようなオーディーンの言葉にルドガーは目を瞑り考える。
「あうう……私だったら壊せません」
「私も……壊せる自信はないわ」
壊せないと呟くアーシアに対し、リアスがそう同意する。優しい人間なら普通は壊すことを選ぶことは出来ないだろうし、自分の為に他人を犠牲にするなど無理だ。そしてルドガーもまた優しい人間である。以前までの彼であれば壊すことが出来なかったかもしれない。しかし、今は違う。
『俺にも守りたいものがあるんだ……だから―――この世界を壊す!』
苦しげな叫びではあるが彼に迷いはない、何に代えてでも守り抜くと決めた。だからこそ、一と九を天秤にかけて一を選んだのだ。黒歌達はこれが覚悟なのだと改めて思い知らされることになり、今まで自分が抱いてきた覚悟というものが途端に安っぽく見えてしまう。
勿論、覚悟というものはその人その人で違うのだから優劣などつけられるはずがない。しかし、覚悟の強さという点ではルドガーの覚悟は非常に高いレベルにあると言えるだろう。そして同時に黒歌は彼がどれ程の覚悟で自分を守ろうとしてくれていたのかが改めて分かり思わず涙を流す。
しかし、彼女はまだ知らない、ルドガーにはこれ以上の覚悟を試される試練がまだいくつも待ち受けていることを。
『……無駄な犠牲は出したくなかったが、致し方ない』
『自信満々ね』
『なぜ私が、自分をカナンの道標と認識できているのか……それはこことは違う世界から来たお前達が教えてくれたからだ』
『分史世界のエージェントも、他の分史世界を破壊しているの!? 自分達の世界を正史世界と信じて……』
衝撃の事実にミラは俯き言葉を失う。彼女が何を思っているのかは分からないが、とにかくルドガー達が不利になったことには変わりがないであろう。何故なら、オーディーンは分史世界のルドガー達を倒してデータ化したのだから。そして今まさにエルもオーディーンの力によりデータに変えられようとしていた。
『きゃああーーー!!』
『エル!』
『させるか! うおおおっ!!』
エルを傷つけられたルドガー達は激情にかられ、オーディーンに目掛けて一直線に駆けだしていく。しかし、オーディーンはまるで計画通りだと言わんばかりにそれを以前と同じだと言い、剣を構える。
『お前達は激情に駆られ、隙だらけとなる!』
ルドガー達との戦闘はオーディーンの思惑通りに事は進んでいたはずだった。しかし、結果は以前とは
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