四十五話:壊す覚悟、揺れる思い
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ドガーも確かにその通りだと分かっているので辛そうに俯むく。だからこそ、ミラが少し嬉しそうに微笑んだのに気づけなかった。
『ほら、エルが待ってるから早く追うわよ』
『……ああ』
『て…あなた、ネクタイ曲がってる。ちゃんとしなさいよ、身だしなみ』
ルドガーのネクタイが曲がっていることに気づいたミラが少し恥ずかしがりながらまるで新婚の夫婦のように自分の手でルドガーのネクタイを直してあげる。そんな普通なら思わず恥ずかしくなるような行動に対してルドガーといえば―――
『ミラが俺の襟首を引っ張るから曲がるんだろ。それに今から戦闘だからそんなに気にしなくてもいいだろ』
何事もなく文句を言うだけであった。実は度々ユリウスから同じようにネクタイをしめなおされることがあるので特に恥ずかしく感じたりはしないのだ。そんなルドガーの対応にミラの方は少し恥ずかしがりながらやった自分が馬鹿らしくなりルドガーをそのまま突き飛ばす。
『う、うるさいわね! とにかく、ちゃんとしなさい。ほら、ボサッとしてないで行くわよ』
『あ、ああ…?』
顔を赤くしながらそっぽを向くミラに対して自分が何か悪い事をしたのかと首を傾げるルドガーだったが考えるのをやめてエル達の後についてくのだった。しかし、その事を見ていた第三者の眼は違った。
「意外とタラシなのね、ルドガー君」
「しかも、少し鈍感が入っているとか性質が悪いですね」
ルドガーが天然の人タラシだったことに驚くヴァーリと朱乃。そして、この中で最も先程の行動に反応していそうな人物を見る。
「まるで、彼氏の元カノとの思い出を見せつけられている気分にゃ…っ! 何気にルドガーもあの女を気にかけているみたいだし……まさか本当に元カノ!?」
そこにはギリギリと歯ぎしりしながら悔しそうに二人を見つめる黒歌の姿があった。そんな黒歌の様子にこれは触れない方がいいだろうなと満場一致で可決しスルーの方向で記憶を見ていくイッセー達であった。
ルドガー達が遺跡の中に入るとそこは黒匣とも精霊術とも違う文化の建物であった。恐らくはイッセー達の世界の文化とも違い、また何百年も先の技術力を有しているのは間違いないだろう。まさにオーバーテクノロジーの固まりがこの遺跡なのである。その事に驚くルドガー達だったが一先ず、雷が聞こえない場所に来れたとティポがエルに言う。
『エルは弱虫じゃないよ?』
『分かってるよ。エルは泣いたりしないもんな』
『わかってれば、いいけど』
エルはそうは言うもののやはり無理しているように見えたためにレイアとエリーゼが小声でルドガーにエルが無理していると告げる。そんなエリーゼに対しミラが自分は六歳の
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