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野原で
3部分:第三章
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に話してきたのだった。
「刀が横薙ぎに来てな」
「それでですか」
「首が」
「あっという間じゃった」 
 また言うのであった。
「気付けばしゃれこうべになっておった」
「今のお姿にですか」
「いやいや、死んだらのう」
 しゃれこうべは動かないがその声はからからと笑っていた。
「もう一旦寝るとそのままになってしまうのじゃよ」
「そのままなんですか」
「左様、そのままじゃ」
 また二人に言ってきた。
「ちょっと寝ただけで普通に十年とか二十年経ってしまう」
「それって何か」
「考えられませんけれど」
「生きておるうちはわからんよ」
 信義のしゃれこうべは二人に対して語った。
「生きておるうちはな」
「死んでからですか」
「そうじゃないとなんですね」
「その通りじゃよ。まあ死んだ者には死んだ者の世界がある」
「死んだ人間の世界がですか」
「それは地獄とか極楽とかいうものですか?」
「ちと違うな」
 それは違うというのである。
「それはのう」
「違うんですか?」
「少しばかりな。行くこともできるが」
「ではどうしてここに?」
「ずっとおられるんですか?」
「わしの場合は行けないのじゃよ」
 声が寂しげなものになった。

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