第142話 孫家の現状
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美羽は正宗に淡々と述べた。彼女の表情はあまり深刻そうな表情ではなかった。美羽は劉表と固い同盟関係を築くつもりがないのだろう。現状、日和見を決め込み傍観していたいと考えているのかもしれない。
「兄様、孫文台が長沙郡太守の地位を得た切欠は彼女の武力と用兵術に朝廷が目をつけたからです」
「その切欠となったのは奸賊・巨星の討伐だな」
正宗が話すと美羽は深く頷いた。
「巨星を討伐した後、孫文台は長沙郡太守の地位に甘んずることなく、ことあるごとに太守の禁であるはずの越境を行って周辺の郡へ兵を送り込んでいます。越境進軍の名目は賊討伐となっておりますが領土的野心があることは間違いありません。そろそろ妾も傍観を決め込んで要られない状況にあります。名士層は孫文台の刺史殺しの蛮行を見過ごすなど無理でしょうからね」
美羽は瞑目し嘆息した。
「劉景升殿と孫文台は既に武力衝突を行っているのか?」
正宗は美羽に聞いた。美羽は頷くと正宗は渋い表情に変わった。
「孫文台が対荊州牧と共闘していた前江夏郡太守・劉祥を攻め滅ぼしました。その後、江夏郡太守の後任には劉表家臣の黄祖を送りこまれております。黄祖は守将としては逸材です。よく孫文台から江夏郡を守っております」
美羽は正宗に状況の詳細を説明した。
「その話を聞いては孫家とは関われぬな」
「それが妙手であると思います」
美羽は正宗の言葉に同意した。
「正宗様、孫家と距離を取られる判断と聞き安心いたしました」
渚が安堵した表情で正宗に言った。
「夕餉は孫家の話を私から聞き出すことが目的であったのか?」
「そのようなことは滅相もございません。美羽様が正宗様と夕餉を取りたいと申されたので手配しただけのことにございます。孫家の件は序にございます」
渚は慌てて正宗に対して弁明した。
「美羽、また夕餉に誘ってくれるか?」
「はい、喜んで!」
美羽は快活な笑顔で正宗に返事した。
「孫家の件は安易に考えていたが慎重に行動しなけれならないな」
正宗は美羽に笑顔で返すと急に物憂げな表情を浮かべた。
「今、孫家と係るのは大火事の中に自ら突っ込んでいくようなものです」
美羽は正宗に苦笑いを浮かべ言った。
「そうだった! 私は荊州で人材を集めようと考えている。勿論、美羽。お前の人材も集めるつもりでいる。それと麗羽を支える人材もな」
美羽の顔を見つめていた正宗は何か思い出したのか彼は自分の手を叩くと言った。
「兄様、お心遣いありがとうございます。できれば文官を多めにしていただけると嬉しいです」
美羽は満面の笑みを浮かべ正宗に要望を伝えてきた。
「今後のこともある武官の層を増やさねばなる
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