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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第142話 孫家の現状
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るとはいえ、元は士大夫出身である以上、名を問われれば名乗らぬ訳にはいかない。それを逆手に取った孫権の手法に美羽は憤りを覚えているのだろう。

「正宗様が名を名乗らずとも状況からして正宗様が名士であることは推察できたはず。理由が何であれ、不躾に名を聞き出そうとした孫仲謀に非がないとはいえませんね」

 亞莎が美羽の意見に同調するように言った。

「人材募集のためにどうしても繋ぎとなる人物と縁を持ちたかったのではありませんか? 長沙郡の治世はほぼ孫仲謀に丸投げ状態のようですし。孫文台が武力で刈り取った領土についても同様ですし。彼女一人で治世を諸事万端を整えるのは無理があるでしょう」

 明命は孫家の事情を諜報である程度知り得ているのか、孫仲謀に同情的なのか彼女を擁護した。

「困っているからと言って正宗様に無礼を働いていいことにはならない」

 明命の孫権擁護の言葉に反応して泉が目を座らせて明命を睨みつけた。明命は泉の表情で肩を強ばらせた。

「泉、明命は忌憚ない意見を述べただけに過ぎない。有意な意見とは忌憚ない意見の中にあるものだ。無為にそれを妨げることは良いことではない」
「正宗様、失礼いたしました。私が若輩で至りませんでした。明命殿、申し訳なかった」

 泉は正宗の言葉に感銘を受けた表情になり、明命に素直に謝罪した。その様子を正宗も見ていた。

「明命、泉は生真面目でな。お前に悪気があったのではない。許してやって欲しい」
「いえ。全然に気にしてはいません!」

 明命は爽やかな笑みを浮かべ正宗に返事した。

「明命、先ほど言っていたが孫家は文官不足なのかえ?」

 美羽は明命の話に興味を持ったのか彼女に尋ねた。

「はい。人材は軍事に異常な程に偏っていると思います。文官と言えるのは孫仲謀位ではないでしょうか。あまりに人材が武官に傾倒しすぎて周辺からは粗野で野蛮な集団と評価されているようです。脅威に感じている豪族は多いと聞いています。また、刺史殺しに加え、出自の低さと夫・呉氏との婚姻に際しての乱暴狼藉、悪要因が重なり太守と言っても盗賊同然の如く思われています」

 明命の説明に美羽は考え込んでいた。

「孫家は長沙郡周辺に地盤を持つ豪族達から評判は良くなかったな?」
「美羽様、仰る通りです。孫文台に従う者達も彼女のことを憂慮しているようです。しかし、彼女は諸将として武力もさることながら用兵に優れており、彼女に歯向かう気概を持つ者達は少ないです」
「兄様、妾は孫文台の件では傍観を決めていますが、荊州牧・劉景升殿は孫文台を敵視し対立を深めています。妾にも劉景升殿より共闘し孫文台を誅伐すべしと文が来ています。孫家に兄様が助成すれば間違いなく、間接的に妾も劉景升様と対立することになります」

 
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