第142話 孫家の現状
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雇用された人物に目星をつけて尋ねているのだろうと察したのだろう。
「孫家の一族の者であるところまでです」
正宗は美羽の返答を聞き軽くと短く返事して少し考え込んでいた。
「海陵酒家で新しく働いている面子は孫仲謀と甘興覇の二名だ。孫仲謀は言わずとも分かるだろうが孫文台の次女。甘興覇は孫文台の家臣だ」
正宗は考えがまとまったのか美羽に淡々と答えた。
「真ですか!?」
美羽は驚いた表情をしていた。その様子から美羽が孫仲謀が城下に滞在していることを知らないことが伺えた。
「美羽、お前には知らせておくべきだったな。済まない」
正宗は美羽に頭を下げて謝った。
「兄様、お気になさらないでください。それより孫仲謀が何故女将の店で働いているのですか?」
美羽は正宗の謝罪を受け入れ孫権のことを興味を持っているようだった。正宗は数日前に燕璃が孫権へ情けをかけたことを思い出したのか渋い表情を浮かべた。
「兄様、お話したくないことでしたら無理を申しません」
美羽は正宗の表情から彼が話すことを嫌がっていると勘違いしたようだ。
「美羽、話たくないのではない。燕璃が孫仲謀に余計な情けをかけたことを思い出し不愉快になっただけだ」
正宗は美羽に弁解すると彼女に笑顔を向けた。
「兄様、いつ女将の真名を交換したのです?」
美羽は正宗が燕璃のことを真名で読んでいることに驚いているようだった。
「つい先日だ。燕璃は三週間後に私の家臣となることが決まっている」
「なっ! あの女将が兄様に仕えると申したのですか!?」
美羽は「信じられない」という表情を浮かべていた。幾許か残念そうな表情をしていた。
「燕璃が私に仕えることが、そんなに以外なことなのか?」
「女将は偏屈な性格なので私からの士官の誘いを長らく断っていたのですよ」
「それは悪いことをしたな」
正宗は美羽の顔を見て本当に申し訳ない表情を浮かべた。
「いえ、お気になさらないでください。女将が決めたこと。私と女将は縁がなかっただけのことです。しかし、あの女将が兄様に士官するとは」
美羽は腕組をして感慨深かそうに物思いに耽っていた。すると渚が「こほん」と小さい咳をした。
「本題からそれましたのじゃ。兄様、孫仲謀の件をお聞かせ願えませんか?」
「わかった」
正宗は燕璃が自分に士官した経緯と孫仲謀と出会いのことのあらましを美羽達に説明した。
「そのようなことがあったのですね」
正宗の話が終わると最初に口を開いたのは美羽だった。
「面倒くさいことこの上ない。美羽、孫仲謀はお前に人材集めの話は通しているのか?」
「いいえ。孫文台からも何もございませんでした。私は
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