第四十話 大阪の華その十二
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「それよ」
「そうなんだな」
「ええ、ではね」
「ああ、それじゃあな」
「夜はそれを食べて」
そして、というのだ。
「楽しみましょう」
「何か大阪って美味いもの一杯あって困るな」
「お話に何度も出て来るけれど大阪は食い倒れの街よ」
「それでなんだな」
「美味しいものが一杯あるのよ」
まさに大阪であるが故だ、食べるものについては大阪に勝てる街はそうそうないのではないかと思える程だ。
「しかも安いわ」
「そうそう、安いよな」
薊は大阪の食べものの安さを言われてすぐにその通りだと返した。
「美味いだけじゃなくて」
「関東は高かったわね、物価が」
「相当高いよ」
「首都があるからかえって」
「そうなのかね」
「ええ、けれど大阪はね」
首都ではない、このことは大阪人にとっては残念なことかも知れないがそれがかえって物価についてはなのだ。
「安いから」
「その分食えるな」
「大阪のよさよ」
「だよな、それにこの猥雑さがな」
それもまた、だった。
「いいな」
「そうよね、私人が多い場所が好きだけれど」
裕香もここで言う。
「その中でも大阪が一番好きよ」
「裕香ちゃんもか」
「うん、京都や神戸よりも」
「大阪か」
「それもここがね」
難波駅の周り、この場所がというのだ。
「一番好きよ」
「確かに面白い場所だな」
「じゃあ。次はね」
裕香は自分からこう言った。
「新世界ね」
「そこで串カツ食うんだな」
「それまでは遊ぼう」
この道頓堀で、というのだ。
「折角来たから」
「だよな、じゃあな」
「色々歩いて観て」
そしてというのだ。
「それから新世界よ」
こう笑顔で話してだ、そしてだった。
一行は大阪の界隈を歩いてその街を観光して楽しんだ。そのうえで夜になると新世界に入ってそうしてだった。
串カツの店に入りそうしてだった。
外にテーブルを出して串カツを食べる、その中で。
薊は笑顔になってだ、仲間達に言った。見れば鈴蘭と黒蘭もいる。
「これが本場の串カツか」
「どう?」
「これとビールの組み合わせはな」
それこそ、とだ。薊は串カツを右手に、そしてビールの大ジョッキを左手に持ち目をきらきらとさせて鈴蘭に答えた。
「完璧だよ」
「完璧なのね」
「ああ、完璧だよ」
それこそ、というのだ。
「ビールとソーセージの組み合わせ並にな」
「完璧なのね」
「そういえばソーセージの串カツもあるな」
「豚肉だけじゃなくてね」
「魚介類も豊富だな」
「串カツは一つじゃないのよ」
これもまた串カツのいいところである。
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