ターン20 鉄砲水と冥府の姫と
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確かにあの場面でマスターが負けるようなことがあれば、同時に私の存在もナスカに封じることができただろう。だが、そのためにわざわざ本人が直接出てくるというリスクを冒した理由がどうも納得できない』
「そりゃそうだけど………でも、なんか昨日だってミスターT分裂して増えてたじゃん。あれも分身だったんじゃないの?」
『自分から仕掛ける側じゃないから今一つよくわかってないみたいだな、マスター。闇のゲームは命どころか魂まで賭けたゲーム、分身を身代りにたてられるほど甘いものではない。もっともミスターTの場合は生まれが特殊だからしばらくすれば自動で蘇ることができるが、それでも決してノーリスクではない』
「他の人に闇のゲームなんてやらせたくなかったとか………?」
『そんな人間に優しい感性なんて持ち合わせていると思うか?』
「とりあえずチャクチャルさんが大嫌いな相手なのはよーくわかった」
そこで駅についたので、また話がいったんストップする。ふと視線を感じたのであたりを見回すと、なんだか近くの乗客全員がじっとこちらを見ていた。よくわからないまま睨み返すと、慌ててさっと目をそらされる。奇妙な空気のまま降りると、隣の車両からこっそりと夢想が降りてきた。ついさっきまで隣にいたのに、まさかこれも光の結社が何か仕掛けたとか。どうもよくわからないことばかり起きるからすごく不気味だ。
「来たのはいいけど、どこから探そうかね」
「う、うーん。あれ、もしかしてあそこにいるの………ってさ」
駅前の広場に噴水があり、そこには大時計が備え付けられている、そこの前に立ち、時間を見ている赤い制服と黄色い制服の2人組がいた。
「十代、こんなところで………」
何してんの、とは言えなかった。僕の声に振り返った赤い制服の男は、後ろから見ると十代と同じ茶髪だったがその顔はまるで別人だった。もう一人も振り返るが、こちらは知らない人だ。
「よう、遅かったな」
「だがさすがは三沢さんだぜ、本当にこいつらここまで来やがった」
「三沢!?まさか君たち!」
「「その通りだ!」」
そう言い放ち、二人が来ていた制服を脱ぎ捨てる。そこから現れたのは、もはやおなじみとなった白づくめの格好。なぜか髪の色まで急に白くなったのはどういうわけだ。
「あれ、光の結社なの?ってさ」
「ふふふ、その通り」
「今、童実野町にお前らみたいな邪魔な奴がいたら斎王様の計画に支障が出るんでな」
「三沢さんに相談して、お前らを街の外におびき出すための作戦とそのためのデッキを考えてもらったのさ」
夢想の問いに片方が得意げに言うと、もう片方がその後を続ける。どこかで見たことあると思ったけど、そうだ。迷宮兄弟のノリとよく似てるんだ。もっとも目の前の2人は、息こそぴったり
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