暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン20 鉄砲水と冥府の姫と
[1/8]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「おいおいおい、どーなってんのこれ」

 もう数十回目になる『おかけになった電話は、電波の届かないところか、電源が切れて………』という電子音声に、電話を放り出したくなる。昨日ミスターTを返り討ちにしてから1日、結局宿泊先のキャンプに行く気力もなくずるずると自分の家で泥のように眠っていた。一応チャクチャルさんが根回ししておいてくれたおかげで捜索届とかは出てないはずだから、その点は安心できる。その根回しとやらは具体的にどうやったのかはすごく気になるけど。人に迷惑かけてないだろうか。若干不安だ。
 ただその根回しに行ってきたチャクチャルさんが、一つ気になる情報を掴んできたのだ。それが、他にも数人が行方不明だということ………具体的にはエド、翔、剣山、そして十代である。なのでとりあえずエド以外の全員が学校から持ち込んでるはずのPDAに連絡をつけてみたのだが。

『おかけになった電話は………』
「もういいよ」

 聞き飽きた電子音声に受話器を放り投げ、ここに来るとき持ち込んだ荷物をまとめる。

「なんだ、もう行くのか?学生は忙しいな」
「さすがに儲かってない店の店主は言うことが一味違うねー。少しは商売っ気出さなきゃ本気で潰れちゃうよ?」
「おうなんだ、お前の癖に親を心配するなんて珍しいじゃねえか。こりゃ今日は雪だな」

 軽口をたたきながらも、親父の顔は固い。多分僕も似たような感じだろう。今回だって、友達が行方不明だと言ったら店をさぼってまで探そうとしてくれたのをこっちが引きとめたのだ。なにせ相手はデュエルを仕掛けてくるんだから、非デュエリストが不用意に首を突っ込んだりしたらどうなるかわかったもんじゃない。なんのかんのといってもやっぱり僕の唯一の肉親が相手なんだから、なおさらのことだ。

「じゃ、行ってくるよ」
「………おう。またな」

 特に長々と話したりはしない。お互いにそういうタイプじゃないし、改まって話すのはちょっと照れくさい。そのまま振り返らずに歩き出すと、ぴょこっと横に人影が現れた。

「清明、私も一緒に。ってさ」
「夢想………」

 一瞬断ろうかと思ったけど、僕もいい加減夢想との付き合いも長いからよくわかる。彼女は自分がこうと決めたら何言ったって聞きゃしないから、説得しようと考えるだけ無駄だ。なので、

「そうは言ってもねー、僕もあてなんてないんだけど」

 とだけにとどめておく。

「なら、駅に行ってみない?だって」
「駅?」
「うん。もし童実野町の外に出たなら、駅員の人がおぼえてるかもしれないし。清明もそうだけど、この制服ってわりと派手じゃない?ってさ」

 自分の着ている真っ赤な制服を見ると、なんだか妙に納得できた。なるほど、確かに一理ある。それに、ここからなら一番近くの駅まで5分と
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ