第四十話 大阪の華その十一
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「けれど広島焼きってなってたな」
「それは神戸もでしょ」
菫が薊にこう言って来た。
「そうでしょ」
「そういえばそうだな」
「そう、関西ではお好み焼きはね」
「大阪のお好み焼きか」
「広島のものは広島焼きよ」
「お好み焼きじゃないんだな」
「そう考えられているのよ」
この辺りは地域のこだわりであろうか。関西ではお好み焼きはあくまで大阪のお好み焼きだけなのである。
「だから広島焼きになってたのよ」
「そうなんだな」
「けれどね」
ここで菫は菖蒲にこうも話した。
「うちの学園は運動部も文化部も夏休みに合宿をするけれど」
「場所江田島だよな」
「広島のね」
「そこだとか」
「そう、お好み焼きはあちらのものよ」
即ち関西では広島焼きと呼ばれるそのお好み焼きだというのだ。
「江田島にもお好み焼き屋さん多いけれど」
「全部あっちのお好み焼きか」
「そうなのよ」
「そうか、何か複雑なものがあるな」
「複雑かしら」
「関東じゃ大阪のとか広島のとか言うんだよ」
つまりどちらもお好み焼きだと認識されているというのだ、大阪や広島と違い。
「それがこっちじゃそうなんだな」
「だから地域ごとのこだわりだから」
「そうしたことになってるんだな」
「そうなのよ、あとね」
「あと?」
「もんじゃは食べないわ」
「ああ、そういえばそうだよな」
薊も言われてそのことに気付いた。
「関西じゃもんじゃないよな」
「お好み焼きよ」
あくまでその勢力県内だというのだ。
「関西も広島も」
「そうなんだな」
「焼きそばはあるけれど」
「焼きそばも関西の方が美味いかね」
薊は焼きそばについてはこう言った。
「やっぱり」
「そうなの?」
「あたし的にはそうだよ」
こう菫に話しつつだ、薊は前の賑やかな人通りを見ていた。人が次から次にと交差していてそれが大阪の熱気を余計に熱くさせている。
「焼きそばは関西だよ」
「こっちの方が美味しいのね」
「何か違うんだよ」
唸る様にだ、薊は首を捻りつつ焼きそばについて語った。
「ソースとか。色々違うのかね」
「関東と関西で」
「細かいところが色々違うんだろうな」
「それが味の差になっているっていうのね」
「ああ、あとおうどんはやっぱりこっちだよ」
関西のものの方が美味しいというのだ。
「お蕎麦とかラーメン、あと天麩羅とか鰻もそうだな」
「関西の方がいいのね」
「特におうどんのおつゆな」
これが、というのだ。
「全然違うな」
「関東のおつゆは黒いというけれど」
「実際黒いよ」
そしてだった。
「墨汁みてえだよ」
「噂通りなのね」
「そうなんだよ、まあ夜はさ」
その夜のこともだ、薊は話した。
「串カツだよな」
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