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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十三話 決戦前
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色は赤と青。置いたのはヴァレンシュタイン。訝しむ私達をヴァレンシュタインが穏やかに見ている。
「選んで下さい」
「……これは?」
私が問い掛けても無言だ。妹と視線を交わす、どちらを選ぶべきか? 赤? それとも青? いやそれよりもこれは何なのか……。私が青を、妹が赤を選んだ。
「これは?」
今度は妹が問い掛けた。
「設計図です」
「設計図?」
「そうです、侯爵夫人。この帝国の、いや新たな帝国の設計図」
設計図? 新たな帝国? 一体彼は何を言っている?
「ゴールデンバウム王朝の命数は尽きかけています」
「ヴァレンシュタイン! 無礼でしょう!」
妹が叱責したがヴァレンシュタインの表情は変わる事は無かった。
「大胆な改革を行えばその命数を延ばす事が出来ます。これまでは貴族達が反対して出来なかった。しかしこの内乱で貴族達は力を失った。今なら改革が出来ます。改革がいかに有効かはブラウンシュバイク公爵家、リッテンハイム侯爵家が一番良く分かっている筈です」
「……」
その通りだ。この青年がブラウンシュバイク公爵家に来て六年、改革は直ぐに始まった。改革のために費用は発生したがそれ以上に領内の生産高は上がった、そして領民達の忠誠心も。リッテンハイム侯爵家も当家と同じように改革を行う事で領民達の支持を得た。ブラウンシュバイク公爵家の人間なら、リッテンハイム侯爵家の人間なら、改革の有効性を疑う者は居ない。
だが改革の内容は平民達の権利を抑えてきた帝国の方針とは全く相容れないものだった。ルドルフ大帝の血を引く一人として後ろめたさを感じないわけでは無い……。
「改革を帝国全土に広げろと?」
「そうです。フェザーンを征服し自由惑星同盟を征服して宇宙を統一する。この宇宙から戦争を無くす、そのためには改革が必要です」
「宇宙を、統一……」
声が掠れた。そんな事が出来ると?
「イゼルローン要塞は?」
「攻略は可能です、侯爵夫人。その中に全て入っている」
ヴァレンシュタインの言葉にチップを見た。この中に全てが? 信じられない、妹と顔を見合わせた。
「何故これを?」
「……」
「貴方が居れば必要無いでしょう? 私と妹に託す必要は無い」
「……生きて帰って来るという保証は有りません。だからそれを託します。そしてそれは二つ揃って意味が有る様にしてあります。宇宙を統一して帝国を繁栄させるには貴女方が協力するしかない」
「……つまり自分の死後、夫達が権力を求めて争った時はこれを使って止めろという事ですか?」
「そういう事です」
声の掠れが止まらない、帝国を私達に託す? もう一度チップを見た、この中にヴァレンシュタインから私達に託された帝国の未来が入っている。ヴァレンシュタインを見た。目の前の青年は平静を保っていた。
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