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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十三話 決戦前
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ローエングラム侯が三個艦隊にまで減った。
「全軍で押し包むのかな?」
リッテンハイム侯の言葉に皆が顔を見合わせた。
「出撃は全軍にしましょう。但し戦闘に入るのは三個艦隊にすべきだと思います」
妙な事を言うな、エーリッヒ。皆不思議そうな顔をしている。まさかとは思うが正々堂々なんて考えているわけは無いよな。俺が思った事をオフレッサーが問い質すとエーリッヒが軽く笑い声を上げた。
「そうじゃありません。カストロプの艦隊が本当にローエングラム陣営を離脱したという保証は無い。もしあれが擬態なら全軍でかかっても五分五分ですよ。オーディン近郊で戦えば四日もすれば連中は押し寄せて来る。不意を突かれて大敗します」
彼方此方から唸り声が聞こえた。
「余程の危険が無い限り三個艦隊で攻め続け罠ではないという見極めがついた時点で全軍で攻めるべきだと思います」
「ヴァレンシュタイン提督の言う通りだな。ここまで来たのだ、念には念を入れよう」
メルカッツ総司令官の言葉に皆が同意した。
出撃は二日後、一月九日になった。最初に戦うのはヴァレンシュタイン、クレメンツ、ファーレンハイト艦隊。ファーレンハイト提督がビッテンフェルト提督、クレメンツ提督がロイエンタール提督、そしてエーリッヒがローエングラム侯に相対する事が決まった。
帝国暦 489年 1月 7日 レンテンベルク要塞 アマーリエ・フォン・ブラウンシュバイク
ドアをノックする音が聞こえると侍女が速足でドアに向かった。二言、三言、言葉を交わし相手を確認すると私を見て頷いた。隣に座っている妹に視線を向けると妹が頷く。二人で立ち上がった。妹は微かに緊張している。侍女に視線を戻し頷くと侍女がドアを開け若い男性が入って来た。
ゆっくりと私達に近付いて来る。ソファーの前で立ち止まると
「お時間を取って頂き有難うございます」
と言って礼をしてきた。三人で席に座った。侍女が紅茶を持って来た。目の前の青年はコーヒーを好まない。飲むのはココアか紅茶だ。
「ヴァレンシュタイン提督、私達に話したい事が有るとの事ですが?」
妹のクリスティーネが問うとヴァレンシュタインは“はい、御人払いをお願いします”と答えた。彼は物静かな、穏やかな雰囲気を醸し出している。しかしそれでも私は緊張を強いられているし妹も同様だろう。冷徹なのだ、感情が見えない。六年前、彼はブラウンシュバイク公爵家に仕えた。未だ子供だったがその時から冷徹で感情が見えなかった。夫を含め男達には頼もしく見えるのだろう、だが私には違和感と畏怖の方が強い。
「陛下は如何お過ごしですか?」
妹と顔を見合わせた。エルウィン・ヨーゼフとヴァレンシュタイン、皇帝と反逆者、幼児と誘拐者。本来なら二人の間には反発、敵意が有って良い、だ
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