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魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第五話
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この場所にたどり着いたかの二択だった。

 どちらにしても感じ取ったのは、相手が強敵であるということ。

「一応、初めまして。
時空管理局機動六課の朝我 零だ。
単刀直入で悪いけど、連行してもらえるか?」

 一瞬にして醸し出した殺気。

 肌にまとわりつくような熱。

 かと思えば、背筋が凍るような悪寒。

 そして全身を貫く刃のような鋭い痛み。

 彼一人が放出した殺気には、それだけの“何か”が混ざっていた。

 逃げることができない。

 二人はそう悟った。

 大柄の男性は少女を守る形で前に出る。

「名乗らせておきながらこちらからは名乗れないこと。
そして連行されるわけにもいかないと言うこと、重ねて詫びよう」

 そう言うと、男性の右手に一本の薙刀の形をしたデバイスが現れる。

 三国志に登場した偃月刀を思わせるそれは鋭く、大きな形をしていても彼の体格に見合い、違和感を感じさせない。

 そして彼もまた、朝我に負けないほどの殺気を放出させてぶつける。

 それを感じ取ってか、朝我も臨戦態勢になり、右手首に装着していたチェーンブレスレッド型のデバイスを起動させる。

 彼の右手に収まったのは、男性とは対照的に細身で銀の刀だった。

 折れやすそうな見た目に反して感じる、圧倒的な切れ味。

 鋭いだとか、鋭利だとか、そんな言葉では足りない。

 そんな存在感を出していた。

「謝らなくて構わない。
そっちの事情は理解してる――――ゼストさん、ルーテシア」

「っ……お前、なぜ俺の名を!?」

 男性/ゼストは遂にその表情を歪めた。

 なぜなら自分の名前は、数年前に抹消されたはずだからだ。

 そう、それこそが名乗れなかった理由。

 それを知られることは、ゼスト側にも、管理局側にとっても不利益なものになる。

 だがしかし、朝我はさも当たり前のように知っていて、全てを理解していながらも彼の名前を口にした。

 それだけでなく、連れの少女/ルーテシアすらも知っていた。
 
「……この人、ドクターに似てる」

 背後でルーテシアがぼそりと呟いた。

 ドクター、それは二人に密輸品の確保を依頼した人物。

 そして二人が今こうしている元凶となった存在。

 ルーテシアの瞳は、朝我 零と言う人物からドクターと似たものを感じ取っていた。

 ……そしてゼストもまた、同じような感じを覚えていた。

 言葉を交える前からすでに何もかもを知ったような喋り方。

 こちらの表情を崩すことが得意で、動揺を誘ってくる。

 そして何より、こちらに向けてきた殺気には、殺意以外の何かが含まれている。

 そこが何よりも、ド
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