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魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第五話
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「すまん、冗談だから自信持っていいぞ?」

 朝我の指摘が意外と間違っていないと思ってか、ティアナは暗いオーラを背に流しながら落ち込む。

 まさか落ち込むとは思わなかった朝我は慌ててフォローを入れると、ティアナは笑みを零しながら顔を上げる。

「引っかかったわね?」

「……ったく、趣味が悪い」

 演技であることを見抜けなかった恥ずかしさ、騙したティアナの満面の笑みに朝我は後頭部を抑えながら苦笑を漏らすと、お互いのデバイスから緊急アラートが鳴り出した。


*****


 ホテル・アグスタから離れた山奥にて、二人はガジェットと魔導師の戦いを見届けていた。

 一人は大き体格の黒髪の男性。

 一人は正反対とも言える細身で小さな薄紫色の長髪の少女。

 二人はある人物に頼まれ、ホテル・アグスタ内で流されるはずだった密輸品を入手するためにここへやってきていた。

 少女は召喚を得意とする魔導師であり、先ほど朝我達の会話内で出た『遠隔召喚』が可能だった。

 そのため、すでに彼女は遠隔召喚で自らの持つ召喚虫に密輸品の確保を行わせていた。

 その間は隣にいる男性のそばでアグスタ周辺で行われている戦いを傍観していた。

 二人の表情に感情はない。

 色を失ったキャンパスのように、二人の表情を表すのは『無』だけだった。

「あの魔法陣は、古代ベルカ式か……。
まさかこれほど多くの術者を見られるとは、思わなかったが……」

「そう……」

 男性は前線で戦う三人の魔導師が三角の魔法陣/古代ベルカ式の術式を用いて戦う姿に、内心だけ驚き、しかし淡々とした口調で呟くが、少女は無関心の返事をする。

 そして再び無言になり、二人は戦場を見渡す。

 しばらくすると、少女は自らの召喚虫が密輸品の確保に成功したことを知る。

「ガリューが見つけた」

「そうか……ならば、もうここに用はない」

 そう言って二人は茶色のフードを被り、森を去ろうとした。

「――――何用でここに来たんだ?」

 背後から若い男性の声。

 二人は驚きに満ちた表情で振り返った。

 そこにいたのは、ワインレッドのTシャツに黒のテーラードジャケット、下にベージュのパンツ姿の男性だった。

 身長は男性よりも低めだが、平均身長より上。

 細身だが筋肉がないわけではない。

 黒い短髪ながらも風に靡く程度には伸びている。

 そんな若い男性はいつの間にか、二人の背後3mほどの距離に立っていた。

 二人が驚いたのは、彼がこの距離まで接近したにも関わらず、一切の気配を感じられなかったことだった。

 つまり彼が相当強いのか、はたまた気配を感知するよりも速く
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