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魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第五話
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で、血まみれで、それが生きている存在なのかすら分からなかった。

 でも、朝我はそれが誰かを知っている。

 いや、間違えるはずがない。

 ――――再び夢は変わり、世界が変わる。

 最初の夢のような場所だった。

 洋式の壁、広く深い空間。

 違いがあるとすれば、室内は暗く、中央に巨大な柱が存在するということ。

「零……君」

「やめ――――!?」

 この空間に誰がいるかなんて、夢の流れで分かっていた。

 だから漏れた、やめろと言う言葉。

 しかし、夢は現実以上に無情で、言い終える前に彼の足元に出現させた。

 栗色の短い髪をした、背の低い少女。

 切り傷が多く、流血が止まらない。

 彼の中心に円形に広がっていった。

 どこまでも紅く、紅く――――。

 それが黒よりも深い絶望の色だと言わんばかりに、彼の視界を――――埋め尽くした。


*****


「――――はっ!
っぐ……はぁ、はぁ……」

 全身がほとんど動かない。

 意識だけが、一気に飛び起きた。

 “あの夢”を見たあとは、決まったこうなる。

 軋む身体を強引に動かし、ベットから床へ、自らの身体を落下させる。

「あ……っつ」

 うつぶせに落下した影響で額と鼻を強打し、鈍い悲鳴と共に身体も覚醒した。

 幸い、ベッドから床の距離は短く、血が出たり跡が残ったりするほどではなかった。

「はぁ……はぁ……ふぅ」

 深呼吸を繰り返していくと、全身の余計な熱が冷め、凍てついた心と思考は溶けだしたいくような安心感を得た。

 そこでやっと周囲を見る余裕が生まれた朝我は、いつもと部屋とベッドが違うことに気付く。

「……ああ、ここはホテル・アグスタか」

 昨日、はやてに任務と言われ、フェイトに連れられた任務地であり、ホテルの人に用意してもらった一人用の個室。

 風呂やトイレがついた六畳一間。

 もっと広い部屋も用意でき、宿泊代は経費で落ちると言われたが、贅沢したいと言うわけでもなかったので断り、仕事が終わって部屋に戻るとすぐに眠りについた――――と言うところまでを思い出すことができた。

《マスター、おはようございます》

 枕元に無造作に置かれた待機モードのデバイス/クロス・ネクサス。

 落ち着いた丁寧な挨拶に、朝我も思わず警護で挨拶しそうになってしまう。

「……おはよう、ネクサス。
時間は?」

《ただいまAM7:00でございます》

「確か深夜2時に寝たから……5時間か」

 基本的に朝我の平均睡眠時間は3時間。

 なので今回はいつもよりかなり多めだった。

 そのためか、夢からの落ち着きが戻
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