第十幕その十一
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「ただ、日本は儒学もあります」
「中国の学問ですね」
「それも入っていますので」
「キリスト教が全ての源流ではありませんね」
「そのことは間違いないです」
仏教や神道もそこまで強くはないというのです、日本においては。
「正直に申し上げまして」
「そうですね」
「私達日本人から見ればです」
「欧州の学問はですか」
「キリスト教の影響の大きさに驚きます」
これが日本人である日笠さんが見た感想でした。
「まことに」
「日本と欧州で学問も違いますね」
「音楽もまずは教会からですね」
「そうです、欧州の今の音楽は教会からはじまっています」
「オルガンもオーケストラも」
楽器もです。
「全てがです」
「神からですか」
「それで僕から見ますと日本の学問は自由に思えます」
「自由ですか」
「キリスト教の影響、一つの宗教の影響がないので」
そのことから言う先生でした。
「そうも思います」
「本当に欧州ではキリスト教の影響が大きいのですね」
「まさに全てと言っていいまでに」
「そして先生も」
「神学も学んでいます」
今もというのです。
「そちらの論文も書かせてもらっています」
「神学の論文もですか」
「そうなのです」
「では牧師さんになることは」
「いえ、その資格はありません」
聖職者の資格はというのです。
「国教会にしてもカトリックにしても」
「ただ論文を書かれているだけですか」
「博士号は持っていますが」
それでもというのです。
「しかしです」
「聖職者にはなれないのですね」
「神への信仰はあるつもりですが」
「聖職者にはですね」
「なれません」
「それはこれからもですね」
「あっ、八条大学の宗教学部では」
先生はこの大学の学部のことも思い出しました。
「聖職者の資格もですね」
「はい、取得出来ます」
「キリスト教に関しても」
「牧師も神父もです」
「資格を手に入れられるのですね」
「そうです」
まさにその通りだというのです。
「だからいいのです」
「他の宗教もですね」
「そうです、仏教の各宗派に神道に天理教に」
「本当にそれぞれですね」
「この学園はまた特別です」
そして宗教学部もというのです。
「あらゆる宗教、宗派を勉強出来ます」
「それは確かに独特ですね」
「そう思います、私も」
「日笠さんもですね」
「この大学にいても何とも思わなかったのですが」
それでもというのです。
「他の大学の話を聞いて違うと思いまして」
「それで、ですか」
「はい、非常に参考になりました」
「左様ですか、それで先生は」
こうもお話する日笠さんでした。
「神学は学ばれてもですね」
「聖職者の資格はですね」
「そうです、そこ
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