第九話:亡霊の王
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わじわと蝕む。
「終ワリダ」
再度、死神が鎌を振り上げる。
どうやらソード・ダンサーによって操られていた剣軍は、主からの指示が途切れたために動きを止めたらしい。だから、これ程速くレンに追いつくことができた。
絶体絶命。絵に描いたような状況に、しかしレンは諦めていなかった。
「そう簡単に終わらせないさ」
今まさに鎌を振り下ろそうと構えた死神の背後、無数に散らばった剣の全ての切っ先が、死神に向けられた。
「切り札だ、受け取っておけ」
体が痺れから解放される。
解毒ポーションを飲ませてくれたユメの頭に手を乗せることで感謝を告げ、そして次の瞬間にはエスピアツィオーネを振り被っていた。
「なに、これ……?」
振り上げた濃紺の剣に集うは世界を照らす白光の輝き。そしてその光に共鳴するかのように、滞空していた剣軍も光を纏う。
「エクスーーー!」
光届かない地下世界に、眩いばかりの極光が暗闇を切り裂く。
溢れ出る光は止め処なく、それは総てを呑み込む。
この一撃は全てを極めた証。
この一撃は最悪のハンデを背負っている証。
この一撃は勝利を掴む為のーーー
「カリバァァァア!!」
ーーー全てを籠めた魂の一撃。
† †
エスピアツィオーネから放たれた極光の主砲と、光を纏った剣軍の乱舞。
それこそが、ユニークスキル『無限剣』にのみ許された奥技。
『極光剣エクスカリバー』。
ソード・ダンサーが展開状態であることに加え、本人のHPゲージがレッドゾーンに陥っていないと放つ事の出来ない、正に一発逆転を狙う勝利の為のソードスキル。
「よし、逃げるぞ」
しかし幾ら切り札級の威力を持っていたとしても、それだけで最前線のボスに匹敵する敵を倒すまでは至らない。
光の主砲の直撃を受けても、死神は倒れることなく再び鎌を振り上げている。
しかし、その動きは先程と比べると緩慢だ。散らばった剣達がストレージに戻ったのを確認してから、レンは動けないでいるユメごと体を部屋に捻じ込んだ。
to be continued
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