暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第一章 土くれのフーケ
エピローグ:誓約
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なたと一緒にいては迷惑をかけると言い、妹を連れ出ていこうとしたが不意に男が声をかけた。

『出ていくのは構わないけどね。そんな状態で、そいつらから逃げ切れると思っているのかい?』
 
逃げ切ってみせます、と答えても男はなお問うてきた。

『生き方もロクに知らないキミが?そんなんじゃ、誰も守れやしないよ。』

 言い返したかったが、何も言えなかった。そして今の自分がただの強がりであることも知った。
 数秒の沈黙の後、男に頭を下げて言った。今の自分には何もできない。だから、どうか生きる術を教えてくれないか。
 その言葉を聞いた男はそのやや痩せこけた顔をニッコリとさせ、こう言ってきた。

『うん、これからよろしくね。なあに、おじさんと一緒にいた方が安全だよ。何せ僕は・・・










魔法使いだからね。』


 それが、少年少女二人の人生が大きく変わった瞬間だった。


「あの人は本当にいろいろ教えてくれたよ。字の読み書きから始まって、お金の計算、食べ物の種類や食べ方、道具の使い方・・・数えだしたらキリがない。皆には当たり前にできることが俺たちには新鮮そのものだった。」

 さらにあの人はさまざまな場所にも連れて行ってくれた。海というのを初めてみた。緑豊かな大自然も見せてくれた。大昔の皇帝が建てたという巨大な宮殿も見た。幼い妹が「前いた『おうち』より大きいね!」と言ってきたときは二人揃って顔を引きつらせたけど・・・。

 とにかくあの人と出会ってからのおよそ一か月は考えられないくらい濃いものだった。そして自分たちのいる世界がとても広く、綺麗なものだと知った。
 そんな中意外だったのは、男は行く先々でまるで子供ようにはしゃいでいたことだった。彼曰く、『楽しむときは思いっきり楽しまなくちゃ』らしい。

「それとな、実は俺たちの名前はその人につけてもらったんだよ。」
「えっ、そうなの!?」



『そういえば、君たちには名前がないね。ふうむ、どうしようか。』

 ある日の夕方、草原に寝そべりながら男はふと呟いた。両サイドには自分たちが同じように寝転がっている。それまではずっと近くにいたため、特に名前で呼び合う必要もなかったが、名前がないと不便なのは確かだった。
 自分があなたにつけて欲しいと言うと男は『う〜ん、困ったねえ・・・』と言いながら、ヨイショと身を起こした。そして夕焼けを眺めながら、『茜色の空かぁ・・・』と呟いた。そして妹の方を向き、

『よし!君の名前は(あかね)ちゃんだ!』

 妹―――茜は喜んだようで、立ち上がってキャッキャッと走りまわった。その様子を見ながら『君はねえ・・・』とこちらに言った。

『君は、あの子を守ると言っていたね。つまり、君はあ
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