第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『Memory...Denied』
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・》体現者?」
「「……………………!」」
その台詞に。嘲笑うような────憎悪するような台詞に反応したのは、嚆矢と最愛の二人。フレンダはただ、そんな二人を見比べているのみ。
足下に『窒素爆槍』を叩き付け、粉塵を巻き上げた海鳥。その塵が晴れた時には、もうその姿はない。
静けさが帰ってきた公園に、思い出したかのように虫の合唱と夏の茹だる夜気が流れ込む。
長谷部を鞘に戻しながら行った“悪心影”の音響探査でも、近くには敵は居ない事を把握している。何とか、虎口を脱したらしい。
「……助かった、訳よね? いやー、結局、一時はどうなるかと思った訳よ」
危機が去った実感に、フレンダが冷や汗を拭いながらそんな軽口を。嚆矢と最愛の二人に向けて、『やれやれ』とばかりにフランクに肩を竦めて戯けてみせる。
勤めて、明るく。明らかに、ギスギスしている嚆矢と最愛の間の空気を和らげようと。
「……………………」
「……………………」
「あは、ははは……」
それを完全に無視され、彼女は諦めて。溜め息一つ、『やれやれ』と肩を竦めて。
「……アンタ、対馬嚆矢でしたっけ? 『あの計画』に、どンな関係があるンです?」
「……………………」
最愛の問いに、嚆矢は口を閉ざしたままで。呼吸すら最低限に、目を伏せたまま。微動だにせず、反応の一つすらなく。
「聞いてンのかよ、テメェ────」
その様子に怒りを露にした彼女が、襟首を掴んで引き寄せた────
「────ふぎゃっ?!」
その勢いのままで、さながら頭突きのような形で最愛の額に額をぶつけて……そのまま彼女を組敷くかのように、力無く倒れ込んだ。
「ちょっ、こンの────……!」
いきなりの事に能力の発動をしくじったか、打ち付けた額と頬を赤く染めつつも一発、ボディーブローを叩き込もうとした最愛。
そこで漸く、気付く。気付いて、溜め息を溢した後で。
「あ、お邪魔しました〜」
「……フレンダ、ふざけてねぇでこの失神ヤローを退かすの、超手伝ってください」
「はいはい、しっかし……一層訳が分からない訳よね、こいつの能力」
“悪酔葡萄酒“の汚染と、その解消の為の肺腑の破壊と再生、更に大規模な魔術行使。その三倍の反動で、体力を使い果たしてしまった為に。
ぐい、と背後からフレンダが嚆矢を抱え起こして、『窒素装甲』を再び纏った最愛が彼を肩に担ぐ。
「それで? 何処に運ぶの
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