第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『Memory...Denied』
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だけど……大丈夫な訳?!」
「ッ────カハッ! ハァ、大丈夫になったよ、今……ね」
駆け寄ってきたフレンダの問いに、ショゴスにより辛うじて、窒息するよりも早く再製した肺腑に息を吸い込み────暫し止めて、酸素を取り込みながら応えて。
満足に動けるように、呼吸を整える。まだだ、気を抜くには早過ぎる。漸く首の皮一枚繋がっただけだ、現状は。
「仕切り直し、かァ……面倒臭ェけど──────よォ!」
「っぐ────?!」
その証明とばかりに『左手』からの高圧の『窒素』を『爆槍』として最愛を吹き飛ばした、『黒夜海鳥』と呼ばれた少女が呟く。それに呼応するように、辺りから不穏な息づかいが聞こえてくる。
物陰から、藪の中から。至る所から圧し殺したような、極上の餌を前に舌を出して喘ぐような────獣の息遣いが。
「こいつら、まだこんなに居た訳?! 勘弁してほしいのよ……」
「っ……超、泣き言言ってンじゃねェですよ。初体験がこンな化け物に輪姦されるで良いってンなら、話は別ですけど」
「結局、どう考えても良い訳無い訳よ!」
フレンダでなくとも、そう口を衝いて出よう。其処彼処に潜む食屍鬼を目の当たりにすれば。
『窒素爆槍』に撃たれた脇腹……『窒素装甲』を貫くには至らなかった衝撃を受けた脇腹を押さえながら、やはり辟易した様子の最愛が立ち上がる。
それを見計らって、タイミングを合わせて『右手』を掲げた黒の少女。それは、走者に号令を出す仕草。
「ラウンド、トゥー……ってか────ァ?」
号令が掛かる、正にその瞬間。魔書を携える少女は、まるで糸の切れた繰り人形のように妙な具合にぶら下がった『右手』を眺めて。更に、目元を拭いながら苛立たしげに舌打つ。
「ちっ、交換しねェと────確かに魔術ってのは便利なもンだけど、こォも消耗が激しいとやってられないってェの」
「「「Howwwwwwwwl!!!!!」」」
その呟きを掻き消すような咆哮、周囲の食屍鬼どもの箍が外れる。最早、誰に止める事も叶うまい。我先にと殺到する牙と爪、不浄の槍衾か。
「悪ィな────この二人はとォの昔に俺が唾つけてンだ。テメェらは、お仲間同士で乱交してな」
「「はあ?!」」
その先頭、口火を切った一体を“天地投げ”により群れに投げ返し、仲間の爪牙に貫かせて。不浄の波濤からフレンダと最愛を護るように、その二人から盛大に睨まれながら。
長谷部と偃月刀の双振りを携えている嚆矢は─
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