第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『Memory...Denied』
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る感覚がこびりつく、血液の巡りが滞る。その二つを、踏み越えて─────
「ッ────ッ!」
展開した第一防呪印“竜頭の印”がそれを弾き、相殺する。砕け散る、竜の頭を象る魔法陣。それは即ち、究極の虚空に住まう神への祝詞の始まり。
視界がボヤける。演算が纏まらない。愈々、危険域か。
「足掻きやがってェ!」
『三枚だ、宿主よ。あれは神に捧げる生け贄の呪詛……“門にして鍵、一にして全”と交信する為のモノだ。後三枚、砕く前にカタを着けよ!』
「うるせェっつってンだろうが、こっちは最初っから……次で終いにするつもりだァ!」
二撃目の凍槍によって、第二防呪印“キシュの印”が割砕する。後は無敵の第三防呪印“ヴーアの印”と、最終防呪印“竜尾の印”の二つ。
「クソが、出し惜しみしてンじゃねェ────もっとだ、もっと搾り取れ! 液体だなんて生易しいもンじゃねェ、固体をブチかます!」
『心得た────クク、ではいただくぞ!』
魔書が、その鉄の装丁が妖しく艶めく。命を吸い、魔力を産み出しながら蠢いている。醜い、浅ましい。あんな汚穢を、好んで使う気が知れない。
『立 ち 消 え よ、立 ち 消 え よ、立 ち 消 え よ!』
先程までの比ではない、魔力の昂りを携える彼女。対し、最早まともに残り二枚を展開できるかすらも怪しい自分。
白い光、見るだけでも凍えそうな程に寒寒しい、極北の風だ。それが一陣、圧縮された槍となって心臓を狙い────
「“零下の─────?!」
撃ち出されるよりも早く、彼女に向けて様々な『顔』が描かれている携帯型対戦車ミサイルが撃ち込まれ────それを、右手の槍で迎え撃った彼女。その懐に、同じくらいの背丈の影が躍り掛かる。
掌底からの蹴り、反転しながらの後ろ回し蹴り。高圧の『窒素』を『装甲』として纏う体術は、見た目からでは想像も出来ない破壊力だ。
だから、黒髪の少女はそれを受け止める。受け止めて白いフードの下の眼光を更に鋭く、全く同じように橙色のフードの下の眼光を更に鋭くした最愛と睨み合いながら、邪悪に笑う。
「────超見覚えがある能力だと思ってみりゃあテメェですか、黒夜 海鳥」
「ヘェ────確かに見覚えがあると思えば……優等生の絹旗ちゃンじゃねェかよ?」
互いに、仇敵に再会したかのように。壮絶な敵意をぶつけ合って。
「ちょっと嚆矢、結局アンタ、顔が土気色なん
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