第2話Bパート『ウィル子は神になります!!』
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「乗ってもらえるとは、思わなかった。嬉しいわ」
助手席からバックミラー越しに眺める。眼鏡にショートカットの女性。
「…まさに、まさかだ。豪胆なヤツだな。川村」
運転席の青年が感心したようにつぶやく。明るい色の茶髪、シルバーアクセで飾られた、軽薄そうにも感じられる青年だが、表情は鋭い。
「アパートまで。送ってもらえると助かる」
遠慮なく座席に深く身体を沈みこませ、けだるげに。
しかしこの二人とは。まったくの初対面だった。
「いいわよ。でも送る途中、ちょっと話を訊かせて貰えないかしら」
にこにこ。
「ええ、それは。」
話を聞かせるぐらいは。どうということもない。しかし。
「それは、参加者として、でしょうか。それとも、仕事で。」
カマをかけたに過ぎない。淡々と尋ねる。そもそもそれらしい演技とかできないし。
運転席の青年が、ぎくりと反応したのが分かった。
ところが助手席の女性は、一切その笑顔を崩すことなく。
ああ、成る程。強敵だ。
とりあえず、戦闘能力が高いと思われるのは青年のほう。安いカマかけにひっかかるようではまだまだ迂闊だが。
所作のひとつひとつに隙がない、指先まで神経が通っているようなイメージ。
女性のほうは、戦闘能力は不明。まあ、誰がどんな力を秘めているか。分からない大会だ。
一切ぶれることのない笑顔も。万人を騙し通しそうな魅力的な笑みだが、これは違うものだ。ヒデオにはそんな風に思える。
巧くお互いを補い合ったらと考えると。付け入る隙は、何処だ。
彼らが知りたいのはネルフについての情報であった。
教えてほしいと直接的に訊かれた。無用な腹の探り合いにならないようにということだろう。
戦闘に参加したパイロットが聖魔杯参加者と知って接触を図ってみたということだが。
まあ、答えられる情報など僅かなものだ。
エヴァについては機密情報だろうし、本部内で見聞きしたことは外で喋らないようにと一通りの口止めはされている。
そう断ってから、第三新東京市に呼ばれた経緯を簡単に説明する。
パイロットの適正ありと判明して、父親から手紙で呼び出されたこと。それまでネルフやエヴァに関わりを持っていなかったこと。
「結局、大した情報はないってことか」
「期待には。添えないようだ」
アパートまでは大した距離はなく、自動車を使えばほんの10数分だった。
「ねえ…」
車を降りたところで、眼鏡の女性の方に見つめられる。
「勝負しない?」
「…勝負方法は、何で?」
聖魔杯参加者同士ならば。出遭った以上、積極的に勝負を挑んでいくべきで。
「名前当て、ってどうかしら?時間内に私たちの名前を当てられればあなたの勝ち。
通常ならお互いの本名
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