第2話Bパート『ウィル子は神になります!!』
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て来た彼女の副官に、「後、よろしくー」と肩をぽんと叩いて。
何を言う間もなく、言っても聞かないだろうが。ミサトの後姿は消えていた。
一人残された眼鏡の青年副官と、目も合わせずリツコもそこを後にした。
◇ ◇ 3 ◇ ◇
朝のやや遅い時間に、赤木博士に電話を入れるとやって来たのは葛城ミサトだった。
常には無いぐらいに遅い時刻に起床し、まあ昨日は完徹明けから始まり遅くまで神経を使う仕事だったからと、ひとり誰に聞かせるでもないセルフ言い訳を考えていた。
「えーと、帰るって聞いたんだけど?」
顔を合わせるとミサトはそのようなことを聞いてきた。
「はい、アパートに。バスも地下鉄も動いてないそうなので。できれば、送ってもらえれば。と」
気まずそうに、彼女が何か気遣わしげにしている。
「帰ってもらうと拙いのよね。というのも、使徒はあの一体だけではなくて。まだ来るらしいのよ。だから…」
やっと理解できて。
新東京…第二新東京の、アパートに帰ると。そう言っていると誤解されたらしい。
「アパート。というのは第三新東京市の新居のことで」
「は?」と怪訝な顔をされる。たしかに、突然呼び出されてのこのこやって来たばかりで、既に此方に居を構えているとは思うまい。
「既に入居手続きを済ませた部屋が。生活必需品の買い込みぐらいは。早めに済ませたいのですが。」
とにかく、これからもエヴァンゲリオンのパイロットを続けて欲しいくらいのことはわかっていることと、第三新東京市を離れるつもりがないことを伝える。大いに安堵した表情をした彼女に、送らせるのもどうかと感じ始めていた。
夜が明けたことで避難指示の解除もされたし、タクシーの一台も捕まるだろう、懐は痛むが。
そう言って、地上都市への経路を歩き出した。事前に贈られてきた手紙に挟まれていた写真付きICカードを使えば施設内外の出入りができることはわかっていたし。
彼女は、しかし疑問が解消しないのだろう。並んで歩き、引越しの経緯を訊こうとしてくる。
聖魔杯について、説明するつもりもない。かといってあからさまな嘘をつくのもどうかと。
正直うざったく感じ始めていたころ、地上に出た。
「お待たせっ。ヒデオくん?」
一台の外車が停車し、助手席から声がかけられる
デイムラー・ダブルシックスか、いい車に乗ってるわね。これはミサトの感想だが、
セカンドインパクト前に生産終了した高級車に乗る2人は、それに似つかわしくない、まだ若い男女だった。
「…迎えが来たようなので。これで」
「ってか、こっちに知り合いとか、居たんだ!?」
一瞬、車に目を奪われたミサトを尻目に、ヒデオは後部座席に乗り込むとドアはバタンと閉じた。
早々に走り出す車。
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