第2話Bパート『ウィル子は神になります!!』
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避難誘導はどうなってたのよっ」
一枚の書類に目を通していたミサトは呻いた。戦闘に巻き込まれた市民の被害状況報告だった。
途中経過だが3百数十人の負傷者を出しており、全体ではまだ数が膨らみそうだ。愚痴っても仕方のないことではあるが。
国連軍が指揮権を持っていた間、本来あるべき市民の安全が重視される方針は取られなかった。国連軍の多くの人間にとって所詮は他国民だから。
戦略自衛隊は、第三新東京市においては十分な権限を持たなかった。ここは国連軍の縄張りだ。
そしてネルフは未だ、実戦経験が圧倒的に不足していた。
縄張り争い、主導権の奪い合い。それが市民のシェルターへの避難を完全なものとせず、彼らの命を危機に晒したのだ。
「昨夜の戦闘の被害者は最終的には500人近くに上る予想よ。」
赤木リツコ試算結果をもたらす。
その数にもかかわらず、
「死亡者0、重傷者でも10人に満たず。ほとんどが軽傷。」
「あれだけのことがあって?」
およそ有り得ないことだ。
病院での聞き取りでは、危ないところを何者かに助けられたとの証言が多く見られた。
正規の部隊によるものではない。そして、どうにも情報は一定しない。
十手持ちの女性警察官に助けられた。あるいは軍用犬を連れた老軍人に助けられた。といった証言は百歩譲ってまだいい。
一方は何といっても軍人だし、警棒のような装備を持った女性軍人だって居るだろう。
変わった所だと
閃光とともに駆けつけた魔法少女に危ないところを救われただとか。
昔懐かしい、宇宙刑事な特撮ヒーローに助けられたとか。
一軒だけ営業しているレストランに逃げ込んだところ、
そこで出会った埴輪に助けてもらった。だとか。
幻覚作用のガスでも撒かれていたのではあるまいか。
そう疑うのも無理はないぐらいのカッ飛んだ内容。
さすがのミサトも、親友に対し「これ、本当?」とは、聞かなかった。
「ところでサード…、ヒデオ君から内線電話で連絡があったわ。」
昨夜の戦闘後、彼にはいったん施設内の仮眠室で休んでもらった。
戦闘後の簡単な検査は受けてもらったが、病院に担ぎ込むほどのこともなし。
もう遅い時刻だった上に非常時で一切の交通機関も動いていない。
朝、起きてから適当な時間に連絡して。と伝えておいた。
「てか、そう言ったのは私なんですけど?
なんでリツコに連絡が行くわけ?」
「責任者に伝えられさえすればいいと思ったようね?
前から思ってたけど、ミサトは主語や目的語を明確にして話すべきね。行き違いの元よ」
恨みがましい目で、見られる。
「帰る、そうよ。」
リツコが端的に、彼の言ったとおりに伝えると。ばっと立ち上がり、さっさと歩き出す。
思ったとおりだが、ちょうど書類を持っ
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