第十四章 水都市の聖女
第九話 巨人殺し
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れの笑み等ではなく―――勝利を目前にした者が浮かべるような、会心の笑みであった。
訝しげな声に―――ルイズは応えた。
「あんたの馬鹿さ加減に笑ってるのよ―――ッ!!」
ルイズの左手が大きく掲げられる。
大げさな程に勢い良く上げられる左手。まるで何かに合図を送るかのように。
「―――ッ?!」
背筋に電流が走る。
肌が粟立ちゾクリと背筋が寒くなる。
嫌な予感。
同時に―――違和感。
―――おかしい?
何故、誰もいない?
護衛がいない?
あの餓鬼どもが護衛の全て?
いや、そんな筈は―――隠れて、いる?
しかし、何故?
……―――ッ!!?
根拠も何もないただの勘。咄嗟に顔を上げた先。ヨルムンガンドを挟み込む崖の上。
そこに―――人影が。
「しま―――」
―――ッドドドッゴンッ―――ッ!!!
ルイズたちの意図に気付いた瞬間、暴力的なまでの爆発が起きた。
意識が一瞬吹き飛ぶ程の爆発音。視界が闇に染まり―――元に戻るとそこには。
「―――うそ」
視界を塞ぐ黒。それは天を覆わんばかりに広がる巨大な岩や土―――石に砂。
数十―――いや、数百トンはあるだろう莫大量の土砂。
それが一瞬の停滞の後。
「―――小ォォオオ娘ェエエッ!!!」
怒り、恐怖、憎悪―――様々な感情が入り混じった悲鳴のような怒声。
般若の如く怒りに歪んだシェフィールドの視界が最後に捉えたのは、一本だけ立てた親指を地面に向け不敵な笑みを浮かべるルイズの姿だった。
―――やられたッ!!? でも、土砂程度でこのヨルムンガンドが―――ッ?!!
直ぐに重力に従って落下してくる大量の土砂に視線が遮られる直前、シェフィールドは見た。ヨルムンガンドでも一抱えはあるだろう巨大な岩が、一体のヨルムンガンドの頭に落下し、そのまま上半身を砕いた様子を。“カウンター”が焼き入れされてある第一装甲ならば、多少の損傷は得るだろう耐え切れた筈である。なのに、それがまるで粘土細工のように抉れてしまった。
それが意味するところは―――
「まさか、さっきの虚無魔法は―――」
脳裏に蘇る白い光。ヨルムンガンド十体を包み込んだ光。最初は爆発の虚無魔法―――“エクスプローション”だと思っていた。
しかし、それは間違いであった。
そう、先程ルイズが使ったのは“エクスプローション”―――ではなく、“ディスペル”の魔法。
ヨルムンガンドの第一装甲にして最強の装甲―――エルフの“反射”の先住魔法を焼入れした装甲。最強たる所以はエルフの魔法である“反射”。つまり、それが無くなれば、ヨルム
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