第十四章 水都市の聖女
第九話 巨人殺し
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以降はどうなるか分からない。戦争が始まってからまだ半日も経ってはいないが、かなりの損害をロマリアに与えている。
しかし、今回の目的は相手の弱体化等ではなく、文字通りの“全滅”だ。
主の望みを叶えるため、シェフィールドは万全の準備をした。いけ好かないエルフと手を組んでまで強力に仕上げた“ヨルムンガンド”を用いて、ロマリアを灰と化すために。
「……何とか“風石”だけでも補給しなければ」
シェフィールドが首を回し周囲を伺う。近くに敵船でも来れば、ヨルムンガンドで引きずり落として風石を奪い取る事は可能だ。だが、それも見つかればの話である。周囲をいくら見渡しても一隻の船の姿も見えない。船は全て国境での戦闘に集中しているのだろう。
戻って味方の船から補給を受けるか、それとも前に進み敵の船を見つけ風石を奪い取るか……。
シェフィールドがフードの下で迷っていたその時。
「「「「おほ〜〜〜い」」」」
ロマリアに繋がる宿場街の出入り口から声が聞こえてきた。
「―――あ゛゛゛んっ?」
その声は人に呼び止める為と言うよりも、明らかに人を揶揄うための馬鹿にするような声であった。
計画通りに進まず苛立っていた所にそんな声を掛けられたのだ。火薬庫の前で火遊びをするようなものである。
シェフィールドの口から出た声は、誰もが分かる程に苛立っていた。
文字通り“あ”に濁点が三つ程付いてるほどには。
「はぁん?」
声を上げた主へと顔を向けたシェフィールドが、一瞬気の抜けた間の抜けた声を上げた。
何故ならそこには、
「……変、態?」
……四人の少年が丸出しにした尻を向けていたのだ。
シェフィールドが悲鳴を上げるべきか、それともこのまま無言でヨルムンガンドで蹴り飛ばすか真剣に悩んでいると、尻をこちらに向けたまま四人の少年の馬鹿にしたような声が上がった。
「「「「いい歳して人形遊びかよっ」」」」
ぺちぺちと尻を叩きながらの合唱だ。
奇妙に間の抜けた沈黙が辺りに満ち―――。
「あ゛?」
明らかに声質が違う。
悪い方向に違う。
女性が出してはいけない類の声が出ていた。
「「「「いっつもフードを被ってるのは皺をかくすた「あ゛あ゛んっ!?」ひいっ?!」」」」
地獄の底から吹き出してくるマグマのように煮詰まった怒声に、丸出しになった尻に鳥肌が立つ。慌てたようにむき出しの尻にズボンを履かせると、四人の少年は一斉に走り出した。
「逃げるんじゃないよっ!! 吐いた唾は飲み込めないよッ!! 足先から丁寧に磨り潰して殺してやるっ!?」
「「「「ひっ、ひいぃぃ〜〜〜っ!!?」」」」
自分でも最近気になりだしている皺について突かれたシェフィールド
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