名という誓約
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で了承する徹だったが、嫌がるどころかむしろ積極的に合体を望む様を見て、己の葛藤や迷いが本当に偽善以外の何ものでもなく、酷く馬鹿馬鹿しいものであったことを悟らざる得なかった。
(よく考えれば、力が絶対の悪魔達にとって、合体は忌避するものじゃないということか。手っ取り早く強くなることができるんだから、むしろ望むところといったところだろうから、当然といば当然の反応なのか。それを俺は、いつまでも一般人の感覚をひきずって、土壇場でヘタレた挙句、醜態を晒したわけか。そりゃ、失望されて当然か……。)
内心で考えを整理しながら、チェフェイの方に向き直る。もう二度と失望させたりしないという決意を胸に抱いて。
「チェフェイ、お前は直接契約し、俺との繋がりも深い。そして、お前の非情さ、冷酷さが、甘ったるい偽善者の俺には必要だ。できれば俺の良き相棒となり、それが『悠久』のものになることを願って、同時にお前が悠久に咲き誇る『華』であることにちなんで『悠華』だ!」
その言葉にチェフェイは内心で驚き瞠目する。これがあの情けなく泣き喚いてた少年だろうかと。悪魔の何たるかを理解せず、下らぬ自己満足と偽善でその魂の輝きを消させようとしていた人間とは、到底見えない。その眼光に表れている強さと魂の輝きは、彼女の不意討ちを受けながらも、尚も立ち上がってきた時を不思議と思い起こさせる。いや、むしろ、その時以上の強さと輝きを感じ、その在り方に美しさを感じる。あの時の彼女が、この人間の行く末を見てみたいと興味から、仲魔になった時と同じように。
(最初から美しいというのも勿論いいですが、成長していく美というのも悪くないのかもしれませんね。今のままでは私が望む相手たりえませんが、成長の余地は十二分にありそうですし、将来には期待できます。いえ、むしろ己の手で望む相手を育て上げるというのはどうでしょう?己が一から育て上げるというのは、最初から望みにたるものを手に入れる以上の楽しみがあるかもしれませんね。
未来を思えば……何とも心が躍りますね!)
今まで見出したことのない楽しみを見出し、チェフェイはありえるかもしれない未来を想像して、その身を陶然と震わせる。まあ、第三者的にいえば、それは逆光源氏的な発想で正直微妙な気がしないでもないが、それは言わぬが華だろう。少なくとも、チェフェイという悪魔にとっては、これ以上ない魅力的なものに思えたのだから。
「『悠華』ですか……。主様、取り消しはききませんよ。私は執念深く、嫉妬深い。それでいて、誰よりも欲深い女です。我慢なんてしませんし、主様の思うままには動きませんよ。それでもなお、この猛毒の華との悠久の絆を望まれるのですか?」
「ああ」
最後の確認として発せられたチェフェイの問に徹は即答する。その表
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