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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
49.大地の静寂
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来る津波の一点へと意識を集中する。
余分な情報など今は邪魔なだけだ。ただ一点だけでいい。そこへと目掛けて彩斗は力任せに刃を振り下ろした。
雷鳴が響く。大気を劈くような爆音とともに土色の津波へとめがけて雷にも似た光速の光が放たれる。それは一瞬のうちに目の前の津波をなかったかのように消滅させたのだ。
何が起きたのか彩斗自身も理解することができない。
そもそも眷獣という存在や魔族のことを考えたところで答えなど出ない。これはこの世界のルールなのだからだ。
彩斗は驚きを隠しながらも海原の方へと振り返った。
「大丈夫か、海原さん」
彼は眼を丸くしていたかと思うと小さく笑みを浮かべて何かを呟いている。しかしボソボソとしていてよく聞こえない。
するとツンツン頭の青年は今度ははっきり聞こえる声で口を開いた。
「自分が緒河彩斗やな」
「は、はい。そうですけど」
大阪弁を喋っているところをみると出身は大阪なのだろう。そして中学生の彩斗からすると多分、大学生だと思われる海原は少し怖く感じる。
「聞いとった通りのわやなやつやな。巻き込まれてたら自分死んでたで」
「そ、そうですね」
彩斗は苦笑いしか浮かべられなかった。
すると向こう側にいた猿の眷獣が不満そうにこちらを睨んで吠えてきた。
「まだ言いたいことはあるねんけど先にあいつや。まだいけるか、緒河?」
「はい! まだまだ行けます!」
長剣を両手で強く握りしめて猿の眷獣を睨みつける。
「俺があいつにデカイのを叩き込むからさっきの頼むで」
先ほどの一撃がもう一度出せるかどうかはわからない。しかし彩斗ははっきりとした口調で口を開いた。
「わかりました!」
「おっ! ええ返事やな」
海原は満足げな笑みを浮かべると地面を蹴り上げて猿の眷獣の元へと走り出した。
それに遅れないように彩斗も後方についていく。
猿の眷獣は彩斗たちを邪魔するように再び大地を脈動させる。
「今度こそさせへんで!」
海原が走りながら右腕を突き上げる。鮮血が大気中に放出され、徐々に形を形成していく。
黄金の角をもつ
一角獣
(
ユニコーン
)
だ。
脈動する大地へと向けて
一角獣
(
ユニコーン
)
は咆哮する。すると地面の隙間から膨大な量の水が噴き出した。その姿はまるで地面から熱水が吹き出す間歇泉のようだ。
噴き出した水が重力に従って雨のように降り注いでくる。気温が低いということもあってかとても冷たい。
そこでようやく彩斗は噴き出した水の正体を理解する。それは地面の下を通っている水道だ。水流の操作によって海原は水道の管を突き破って地上に水を吹き出させたというわけだ。
水がこの空間へと満ちた。海原が操る眷獣
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