暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
49.大地の静寂
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こへと飛び込めば間違いなく彩斗は一瞬で吹き飛ばされて終わりだ。
 どのように近づこうか考えようとしたとほぼ同時だった。
 それが襲ってきたのは……。

「なんだ……!?」

 あまりの出来事に驚愕するしかなかった。地面の一部が盛り上がってこちらへと猛スピードで迫ってくるのだ。

「そんなのありかよッ!?」

 常識はずれの技に悪態をつきながら逃げる。あれが直撃すれば上空へと打ち上げられるか、飲み込まれるかだ。どちらにしてもくらえばひとたまりもないことに変わりなどない。
 しかし、想像以上に迫り来る地面の速度は速い。一か八かで彩斗は建物と建物間へと飛び込んだ。
 すると迫り来る地面は彩斗のことなど無視してそのまま進んでいった。どうやら無差別か彩斗ではない誰かをターゲットにあれは動いているようだ。
 なんとか凌いだがこのまま闇雲に動き回っても先ほどの二の前になるだけだ。
 もうこの街は彩斗が知っている平和とは違うのだった。ここはもう戦場だ。
 ならば考えるんだ。この戦場から柚木を助け出すための方法を……この状況を打破するための方法を……。
 集中状態の彩斗の耳は獣の叫びを捉えた。
 その叫びには覚えがあった。忘れるわけもない叫び声に彩斗は危険など考えずに建物の間から元の道へと飛び出した。
 そして彩斗の視界は叫び声をあげた主を捉えた。
 黄金の一角、艶やかで綺麗な毛並みを持つ一角獣(ユニコーン)だ。それは海原が従えている伝説の吸血鬼の眷獣だ。

「あの眷獣が出たってことは海原さんがこの辺りにいるのか」

 彼の元まで行けば柚木の居場所がわかるかもしれない。しかし先ほどの地面は一角獣(ユニコーン)が現れた方向へと向かっていった。つまりあれの対象は海原ということになる。あちらは危険ということだ。だが、そんなことなどお構いなしに彩斗の足は一角獣(ユニコーン)の元へと向かっていた。
 しかし一角獣(ユニコーン)の元へ行くには、先ほどの盛り上がった地面が壁のようにそびえ立って邪魔だ。
 脇道が健在ならば少し大回りすればそちら側に回り込むことができるはずだ。迷うことなく彩斗は脇道を駆け出した。
 建物と建物の間は先ほどの影響で地面が隆起しており、かなり走りにくくなっている。そんなこと気にもせずに彩斗は駆ける。
 そして建物と建物の間から抜け出た時だった。突然、彩斗を襲ったのは激しい揺れだ。
 目眩か、いや、これは地面が揺れているんだ。
 それを理解した瞬間に後方から肌を刺すような嫌な気配を感じた。振り向くとそこにいた姿に驚愕する。
 ここら辺の地域はマンションや企業などの建物が多い。しかしそれらと同じくらい。マンションの四、五階くらいはあるであろう。身体中に銀色の鎧を身にまとう猿が現れたのだ。それは眷獣だ
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