四十四話:守るべき大切な者
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歌達も一つ間違えれば命に危険を及ぼすほどの滴り落ちる血の量に息をのむ。そしてイッセーは思い出す、ルドガーという男は誰かを守る為なら自分が傷つくことを一切戸惑わなかったことを。そして黒歌は以前ルドガーと一緒に風呂に入った時に見た傷の正体をここで知り、どういった目的で腕を切ったのかを理解する。
『まさか……血の臭いで幻魔を誘き出す気!?』
『お前、そこまで……』
『大切な子なのね』
ミラがいち早くルドガーの行動の意図を察し、ユリウスは弟の覚悟の強さを知り、ミュゼはルドガーにとってのエルの大切さを知る。黒歌達も改めてルドガーの大切な者を守るという意志の強さを理解する。
『きたわよ!』
ルドガーへ不可視の攻撃が来たのをミュゼが知らせる。それに対して腕の痛みからか回避や防御が遅れるルドガーだったがユリウスが剣投げ幻魔の触手による攻撃を阻止する。そして生まれた幻魔の隙にユリウスはルドガーに近づき、ある物を渡す。それはユリウスがクランスピア社からの逃走の際に奪ったカナンの道標だった。
『……大切なら守り抜け。何にかえても!』
それだけを言い残してユリウスは再び襲い掛かって来た触手からルドガーを庇い、吹き飛ばされて海へと消えていく。この言葉こそ、ルドガーの信念となる言葉で以前イッセーがルドガーから言われたルドガーの憧れの人の言葉である。その事に気づいたイッセーはユリウスの意志も無駄にしないようにもっと強くなろうと心に決めるのだった。
そして幻魔との戦いはエルを守るという、ルドガーの強い意志に反応した骸殻がクォーターからハーフに進化したことで手に入れた大精霊にも匹敵する力で幻魔に止めを刺して終了した。分史世界から戻るとエルにかけられていた呪霊術も解かれており全てがいい結果に終わっていた。ただ、一つの事を除いて。
『お兄さんのこと、心配?』
そう、幻魔に吹き飛ばされたユリウスのことだ。そんなユリウスを思いやるばかりに思いつめていたルドガーにミュゼが声を掛けたのだ。
『俺の兄さんなら大丈夫だ。絶対にな』
『信じてるのね。羨ましいな』
兄に対して絶対の信頼を寄せるルドガーにミュゼはミラが無事かどうかを心配で不安でしょうがない自分と比較してか羨ましいと滅多に言わない本音を口にする。そんな言葉を聞きながらルドガーは元気になったエルを見つめる。ミラも元気になったエルを見てよかったと口にする。
『ふーん……頼りないと思ってたけど、あなた、そこそこやるじゃない』
『ミラ?』
突如、褒められたことに困惑してミラを見つめるルドガー。
すると、その視線に恥ずかしくなったのかミラは顔を赤らめてそっぽを向く。
そんな様子にますます困惑して続きの言葉を
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