四十四話:守るべき大切な者
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本当に告白したように見えるかもしれない。そのせいで―――
「告白? こくはく? Kokuhaku? 誰が、誰に? ……潰すにゃ!」
黒歌からどす黒いオーラが出ていたことをルドガーが知るはずもない。この後、結局冗談だとミュゼ自身が言ったのでルドガーの身の安全は確保された……はずである。そこで場面は再び変わる。
『あっ、変なキレーな貝!』
分史世界に進入し、キジル海瀑にユリウスとカナンの道標を探しに来たルドガー達は、綺麗な砂浜で珍しい貝を見つけてはしゃぐエルの為に一時足を止めて休憩することにする。その時、エリーゼは海岸に近づくと危ないと忠告したがエルはそれを聞くことなく貝の元にルルと一緒に走って行ってしまった。
『あんな子どもを連れ歩く気が知れないわ』
ルドガーに皮肉を口にするミラ。若干過保護なルドガーも出来ればエルには安全な場所に居て欲しいのだがエルとルドガーはタイトーなアイボーであるためにそのような危険な場所にでも一緒に行って一緒に乗り越えようと約束したのだ。勿論、どんなことがあってもエルは守るとルドガーはそう決めている。
『人間って、守るものがある方が強いんじゃないかしら?』
『あなたもそうだった?』
『さぁ? 私は人間じゃないから』
『……そうよね』
ミュゼが守るものがある方が強いと言い、ミラが若干何かを期待しているかのように聞く。それに対して少し微笑みながらミュゼはわからないと答える。その答えに少しばかり気を落としながらもそうよねと短く返すミラ。
『でも、ひとりぼっちは、もう嫌』
『そう……よね』
ミュゼのひとりぼっちはもう嫌だと言う本心にミラは現在の、世界を壊され、帰る場所もなく、ひとりぼっちになった自分を重ね合わせて寂しそうに肯定する。そんな様子にギャスパーなどの孤独を知る者は願わくば、ミラが孤独から抜け出せるようにと過去と分かっていても祈ってしまう。
『はっ! ……兄さんの歌が聞こえる』
「これって……証の歌かにゃ?」
ミラとミュゼの会話を、罪悪感を持ちながら黙って聞いていたルドガーの耳に聞きなれた歌が入って来た。それを聞いたルドガーは居ても立っても居られなくなり歌の聞こえる方へと一人歩きだしていく。黒歌は以前にその歌が何の歌かを聞いていたためにその名を口にする。他の者もいつもルドガーが歌っていたために聞き覚えがある歌なので反応を示す。
『ちょ、あなたまで!? もう、エルとそっくり』
『何だかんだ言ってついて来てくれる、ミラって優しいよな』
『べ、別にあなたが心配だからついて行くわけじゃないわよ。ただ、あなたが迷子になったら探すのが面倒だからついて行ってあげるだ
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