四十四話:守るべき大切な者
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れるエージェントの分史世界進入を探知しました。当該分史世界は、道標の存在確率“高”です』
ヴェルから知らされた内容にエリーゼがユリウスを追いかけるために分史世界に入ろうと発言する。カナンの道標がある以上、遅かれ早かれ、その分史世界には進入しなくてはならないのだがそこにも一つの不安点がある。
『注意した方がいいわ。そのユリウスって人、誘ってるみたい』
そう、ユリウスがわざとルドガーが自分の元に来るように差し向けているように感じられるのだ。今までの行動から考えみて、ユリウスがルドガーに多大なる危害を加える可能性は低いだろうが、ユリウスの真の目的が分からない以上、楽観視はできない。
『だからって、逃げるわけにはいかないでしょう』
『ああ……ミラの言う通りだ』
『……ねぇ、ルドガー。私も連れて行ってくれない?』
ミラの言葉に同意を示し頷くルドガー。そんなルドガー達の様子に何か思うところがあったのかミュゼが動向を申し出る。それに対して快く受け入れるルドガーだったがどういう理由かと不思議に思って尋ねる。するとミュゼはミラの元に移動し微笑みながら答える。
『この子が心配だから。危なっかしいところはミラとそっくり』
『お、大きなお世話よ』
頬を絡めながらそう言うミラであったが全く説得力がなかった。純粋に心配して貰えてうれしいと言えばいいのにとルドガーは思うが、それもミラの性格かと思い直し、微笑ましそうに二人を見つめる。
『な、なに笑ってるのよ!』
『おふっ!?』
そんなルドガーに気づいたミラが鋭いパンチを正確にルドガーの顎に繰り出す。それを受けたルドガーは脳が揺れてなすすべなく崩れ落ち膝をつくがまだ不幸は終わらなかった。
『あんた、連れなら、パレンジの代金払っておくれ!』
『俺が払わないといけないのか……二千万の借金を背負っている俺が…っ!』
この中で最もミュゼのとの親交が少ない上に多額の借金を負っているにも関わらずに自分がパレンジの代金を払うことの理不尽さに打ちのめされながら泣く泣く財布から100ガルドを取り出すルドガーであった。
そして分史世界に行く前にみんなで少しミュゼと話をしていると、エリーゼとティポが昔のミュゼは険しかったという話をし始めたのでルドガーは良く分からないものの女子だらけで会話に加わりづらい空気を変えるためになんとか話に割り込む。
『昔は知らないけど、今のミュゼはいいと思うな』
『まあ……ルドガー、それって―――告白?』
『コクハクー!?』
顔を赤らめたミュゼの言葉に騒然とするルドガー達。言った本人であるルドガーもかなり動揺して顔を赤らめているためにミュゼとルドガーだけを見れば
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