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魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第四話
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は任務中だ。
二人に注意を受けたとしか思わなかった。
だから動揺もせず、ただ謝罪をして歩き出していった。
「シグナム、アイツってたまに何考えてるか分かんねーよな」
「……同感だ」
八年前、友人である高町 なのはが事故で入院した際、たまたま病室が隣だった縁で知り合い、そしていつの間にかシグナムやヴィータにとっても友人と呼べる間柄となった。
当初、記憶喪失の次元漂流者と言うワケありな彼を警戒していた時期もあった。
だが彼はとても紳士な人であり、気が利く相手だった。
異性でありながらも、傍にいて違和感や不快感を感じることもなく、いい感じの距離を保ってくれた。
言葉に出さなくても、こちらが何を求めているのかを察して行動してくれた。
だが、彼は彼自身の中身を見せなかった、
何を求めて、何をしたいのか、簡単には教えてくれなかった。
――――いや、今でも教えてはくれていないのだろう。
だから時々、彼が何を考えているのか分からない時がある。
自分たちの予想とは違う反応を示すときがある。
そしてそのときは決まって彼は――――何か|
辛
(
つら
)
いものを飲み込んだような顔をする。
「……私たちも任務に戻ろう」
「だな」
シグナムの一言で、ヴィータも思考を振り払った。
結局、今考えたところで仕方ない。
今、この場で朝我に聴いた所で彼は答えてくれないだろう。
だから最初の頃に不信感を抱いた。
しかし同時にそれは、彼が紳士な人であることの証明にもなった。
何があろうと、相手にどう思われようとも、話せないことは話さない。
その意志の強さは、不信感とは対照的に信頼感を与えた。
だが、それ以上に――――なぜ彼のことは、信頼できた。
多くの言葉を交えたわけじゃない。
刃を交えたわけじゃない。
一言で言えば、直感にも似た感覚だった。
――――朝我 零は信じてもいい。
そう思って疑わない感情が、初めて出会った頃からシグナムとヴィータの中にはあった。
どうしてそうなのか。
答えは相変わらず分からないが、それでも今はいいと、そう思えたのだった――――。
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