暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第四話
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、それで充分だよ」

 車を運転していなければきっと、彼の顔を笑顔で見つめただろう。

 そうして頭を撫でていただろう。

 何もできないもどかしさを抱えながらフェイトはバックミラーを覗き込むと、そこに写ったものにフェイトは頬を緩ませる。

 朝我の表情が緩み、安心しきった様子で窓の外に広がる景色を眺めていたのだ。

 ここまでずっと、彼の表情はこわばっていた。

 本人は必死に隠していただろう。

 だが、どうしてかフェイトはそれが強がりなのを察することができた。

 まるで長い時間、一緒に過ごしていた、なのはとはやて達といるかのような……そんな、言動以外の何かで通じ合っているような――――。

 どうしてそう思うのだろうか。

 フェイトはそんな疑問を抱えつつも、彼と和解出来た喜びを抱えながら、アクセルをいつもより強めに踏んだ――――。


*****


 ホテル・アグスタに到着した朝我とフェイトは駐車場を出て建物のロビーにて既に待機していたシグナムとヴィータの二名と合流した。

「スターズ5、朝我 零。
ただ今到着いたしました」

「ああ、予定より早かったな」

 真剣そうな表情を崩さず、シグナムは朝我を見つめると、その隣でフェイトは申し訳なさそうに苦笑する。

 実はアクセルを少し踏みすぎて制限速度ギリギリになったと言う、初心者にありがちな事を起こしていた。

 そんなことをシグナムとヴィータに告げるのは恥ずかしく、笑って誤魔化すしかなかったのだ。

「まぁ早く到着して悪ぃことはねぇ。
早速でわりぃけど、朝我はアタシらと建物内の見回りに行くぞ」

「了解。
……それじゃフェイト、また明日」

「うん、またね」

 そう言ってフェイトは笑みで手を振り、再び駐車場に向かって歩きだした。

 その背が消えるまで、朝我は見つめる。

「“仕事中”だからな?」

 朝我の右からヴィータが意地悪そうな笑みを浮かべて肘で小突く。

「プライベートにまで干渉するつもりはないが、仕事と割り切ってもらわねば任務に支障をきたす」

 更に左からシグナムが僅かに微笑み、腕を組みながら何かに納得したように首を縦に何度も振った。

「分かってるよ。
さて、行きますか」

 シグナムとヴィータは、朝我をからかったつもりでいた。

 フェイトに気があるのでは?

 そんなことを遠まわしに伝えて、動揺したところを見ようと言う魂胆だった。

 それは親密な関係であるがゆえの当たり前の悪戯であり、そして朝我が何かしらの反応があるものだと思って疑わなかった。

 ――――しかし朝我は言葉を言葉通りに受け取った。

 仕事とプライベートを分けろ、今
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ