第4話 真打ちと秘密兵器
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練習を始めた。
「一体なんなんだ」
首を傾げる西園寺に、出番を待つ先輩のキャッチボールに付き合ってベンチを出てきた広樹が答える。
「意識してんだよ」
「何をだい?」
「扇沢はお前と同じ2年。よーく見ておけって言いてぇのさ」
ニヤけながら言った広樹に、西園寺は端正な顔の口をへの字に曲げた。
「僕と彼との勝負じゃない。そんな対抗意識を持たれても困っちゃうよ」
「へっ、そんなのは奴本人に言うこった」
相変わらずニヤけながら言う広樹に、西園寺はため息をついた。
次の瞬間、内野席にどよめきが起こった。
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「145だってェ?」
「背番号18がこの速さ!?」
応援席から見ている修斗や脇本も唖然とする。初球からフルスロットルの扇沢の投球は球場のファンを釘付けにし、一球ごとに歓声を上げさせる。
(……フン、この反応は、初登板の控えがこの速さか、そう驚いてる反応だな)
歓声を浴びながらも、マウンド上の扇沢は表情一つ変えずに、大きく振りかぶる。
(夏は俺がエースだ。この程度では驚かなくなるだろう。俺の145なんて、そんなの当然の事だと、誰もが思うようになる)
扇沢の細身の体がグッと大きく捻られる。背中を打者に見せるこの投げ方、トルネード投法だ。その捻転のパワーが、右腕に一気に伝わる。白球が光線になって飛んでいった。
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