第2巻
漆原家ガサ入れ×静乃奪還作戦
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学させたい今は諸葉をダシに懐柔する。
「(どうして私はこんな家に生まれたのかしら?せめて諸葉の近くにいたかった)」
兄の言いなりになるのであれば、諸葉に頼んで自分の立場を補充させればよかったと考えていた。サツキには桜花という話し相手がいて、相談相手ともなっていた。それも蒼い翼所属だから、相談があればいつでも乗ってくれる。静乃も諸葉に相談すればよかったと考えていたが、既に漆原家周辺にはステルスモードと化した車が多数あって家のゲートも開けられている。あと漆原家周辺に防音結界と気配遮断する結界をするように、先に行かせたラードゥンに命じた。そのお陰で放課後になるまでの間、誰も見つかっていない状況となっていた。
「お優しいお兄様」の命とあれば、静乃は晩餐に出席するしかなかった。使用人に一番上等のドレスを着せられ、髪を結い上げられ、おめかしさせられる。屋敷の南側にあるホールへ気の進まない足を向けると、兄とサー・エドワードが待っていた。パーティーだって充分開く事が出来る程広い場所に、四人掛けのテーブルがちんまりと用意させられていた。
『ざっくばらんに行こうじゃないか(Let's be frank)』
というエドワードの要望だ。実際、サーだけは礼装せず、ラフな夏物ジャケットという気取らない格好だった。静乃がエドワードの斜め向かい、兄の隣の席に着くと料理が運ばれてくる。談笑するのは男二人だけ。静乃は黙々と食器を動かすだけ。
『キミが留学を決意してくれて本当に嬉しいよ、シズノ』
『サー、お手ずからの誘いとあれば、妹だって断れませんよ』
『ハハ、ボクが後見人になるから、キミは心置きなく研鑽に励めばいい。心細かったりはしないかい?困った事や入用な物があったら何でもボクに甘えてくれていいんだからね?』
『サーのお気遣いには、この妹も非常に感謝しております』
『しかしシズノは奥ゆかしいね。ヤマトナデシコって奴かな?』
『そのように躾けておりますので』
エドワードの問いに、どうして兄が一々勝手に答えるのか?別に静乃だって口を利きたくなかったが、かといって兄の態度は癪に障る。能面みたいな自分の顔が若干助かっているが、不愉快さを表に出すなという諸葉の指示によって礼を失さずに済むし、静乃は皮肉な思いでそう考える。権力を間違った使い方をしている兄と気さくなエドワードの談笑は苛立つ会話であった。羊肉をナイフで切りながら、早く来ないか待ちわびていた。一方俺らは既に漆原家の敷地内に入っていた。サツキ達を降ろしてから、ゼロはロボモードとなり、静乃がいる付近に窓を壊す事にした。あとは大量の車と捜査員達が俺の合図を待っていたので、俺は玄関に向かい玄関を鳴らした。
「お嬢様のご学友がいらっしゃって、面会させてほしいと仰っております」
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