曖昧な心地よさに満たされて
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対立させ……そして公孫賛の敵対強化を為す。公孫賛については白馬義従の支持を得られた以上、手に入れば儲けものね」
茫然。
雛里と詠と朔夜は驚愕に呑み込まれた。彼でさえ、思わず息を呑む。
違った? と楽しそうな目だけで訴える華琳に、秋斗はため息で答える。
「敵わねぇな、ホントに。大正解、その通りだ。新しく名前を決めたえーりんと一緒に、昔のご主人様に対して“ご挨拶”に伺うつもりだった」
詠と一緒に、という所で朔夜が少し不機嫌になった。
――私を、選んでくれない。劉備勢力を、より大きく掻き乱す為と分かって、いますが……
記憶を失った事を一手とするなら雛里か詠を連れて行く方がいい。
敢えて雛里ではなく詠を連れて行くのは、荀攸という新しい名前を見せつけ、存在を公に定着させる意味合いが大きい。有用性を分かっているから、朔夜も口を挟む事はなく。
――やっぱりこの人はほとんど秋斗さんと変わらない。多分、戻れる可能性も考えてるんだ。
せっかく出会えてもすぐ離れる事になってしまうが、雛里も利点を把握して何も言わず。少しだけ寂しげな目を向けるも、申し訳なさそうな彼の表情を見て、気にしないでと小さく首を振った。
「私達の欲しいモノは手に入ったもの。広がる波紋の中で、もっと大きく影響を及ぼす為にあなた個人が打つ最善の一手くらい読めるわ」
「ああ、俺達が欲しかった……“乱世に於いて有力であった敗北者に対する扱い”は、ほぼ確立されたからな。付属効果もあるし、これで全ての勢力に対して一斉に手を打てる。俺の効果を利用するなら劉備に会いに行くって一手が最善だ」
彼と華琳の言葉は楽しげに紡がれる。
朔夜と雛里は直接聞いた時の事を思い出して、詠は今聞いた事を頭に取り込んで、身の芯まで凍りついた。
華琳達が求めたのは敗者がどうなるかという結果。その為に麗羽の生存は欠かせないモノでもあった。
敗者でも有能なモノを失わせるのは惜しい。
覇王と黒の道化師、そして夜天に輝く真名を持つ王……この三人が悠久の平穏を作る為に求めているのは、乱世が終わってからこの大陸を良くしていく為の人材。
乱世の果てにより多くを残せる可能性を作り上げる為に、死と同等以上の厳罰を麗羽に科したのであった。
法、というのは初めての処罰があって成り立つモノでもあるのだ。例となる過去の事象があるというのはそれだけで認めるに足るモノになろう。
此処を分岐点として今回の事が基準線として広まっていく。つまり、真名を捧げる厳罰があれば、世界をより良く導く為の人材を残せる道が出来上がり、それでいて民の心にも一手多く打てる事になる。
罰を科せられたモノが破れば、真名は大切という価値観がある以上、そのモノは問答無用で悪となる。そうなれ
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