曖昧な心地よさに満たされて
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猫様と呼んで崇拝すらしている。
故に、桂花は彼女の天敵と言えた。
揺れる猫耳フードが愛らしすぎた、似合いすぎているのが問題だった、彼女は猫耳を付ける為に生まれてきたのではないのかとさえ思えた、むしろ猫なのではないか……そんな葛藤を脳内で繰り広げている。
「えー? でも此処をこうしてぇ……」
「何をっふぁ……やめ、め、明……ちょ、んぅ!?」
何処か暴走していく思考の明命を気にすることなく、淫らな水音が少し響き始めた。
――な、何が起こってるんです!?
訳が分からず、それでも見る事は出来ない。明相手では少しでも動けば此処に居るとバラすようなモノであるが故に。
「うるさい子は黙ってましょうねー。ひひ、やっぱり耳弱いんだー♪」
「……んっ! ひゃめっ……っ!」
「次は何処がいい? かわいいからこのまま食べちゃいたいんだけど?」
――はぅわっ! た、食べる!? こんな場所で!?
困惑極まるとはこのこと。そういった方面には疎い彼女であれど、艶やかな声を聞けば何をしているか思い浮かび、顔を真っ赤にして震えだした。
逃げ出したいのに動けないというジレンマが彼女を縛る。
「……っ、っ……がぶ!」
「いったぁ!」
「調子に乗るんじゃないわよバカ明!」
「むぅ……いいじゃん、ちょっとくらいさぁ」
「良くない! 私を食べていいのは華琳様だけなの!」
元気な桂花の声が聴こえて、明命はほっと胸を撫で下ろした。
「……ま、いっか! じゃあぎゅーってするのはいいよね!」
「ひゃん! 聞く前に抱きしめてるじゃない!」
そんな明命を知ってか知らずか、明は桂花をぎゅうと抱きしめて、気配がする方へと目を向けた。
「とりあえずさ……猫狂いー、聞いてるのは分かってるかんねー? 血狂い虎に伝てよ。ひひっ、次は本気で殺し合おうね……って」
妖艶な声に、明命の背筋に寒気が来る。
「……ホントに隠密が居るの?」
「出て来てくれないから桂花には分かんないよね。でも居るよー」
「……そう」
「んー♪ 怖がってる桂花もかぁいいなぁ♪」
「こ、恐がってなんかない! それより来るしいから離しなさい!」
直ぐに先程までの緩い空気に戻った二人。
明に気付かれた以上、もう此処にいるのは意味がないと思い、明命は立ち去ろうと心に決める……しかし、
「あ、言い忘れてた。秋兄……黒麒麟からの伝言」
そう言われて、息が詰まった。
「“これで最悪の場合に陥れば家の存続は望めないな、孫呉。逃げ道は全部潰させて貰うぞ。あの時に協力出来ていれば、こうはならなかったんだがな”……だって。もう、元袁家のあたしにこんなこと言わせるなんて秋兄ひどいよねー」
「相変わらず意味分かんないわね
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