暁 〜小説投稿サイト〜
大統領の日常
本編
第十五話 クーデター
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
ルホムは捕まえられていない。グルだったのか。
大統領は無言のまま席に座っている。少しも動揺していない。さすがといえるだろう。

「・・・クーデターか・・・」
大統領が呟くように言った。
マスティスが銃を取り出して話し始めた。
「もはや・・・もはやこうするしか手がないのです・・・。このままではこの国はガルメチアス帝国と同じ運命をたどることになってしまう・・・。もはや…もはやこれしか止める方法がないのです!」
叫ぶような声だった。
「だからと言ってこんな非常識な手段を使うのか」
「なんといわれようともやめるわけにはいきません。閣下には大統領の座を降りていただきます」
「いやだと言ったら?」
マスティスが銃を大統領に向けた。
「閣下には死んでいただきます」

「・・・わかった。だが、私もただでやられるつもりはないのでな」


大統領が指を鳴らした。その瞬間会議室に何かが投げ込まれ、ガスのようなものを噴き出した。
入口から銃を持った兵士が突入してきた。不意を突かれたクーデター派は必死に抵抗したが全員肩や足を撃ち抜かれて倒れこんだ。

3分ぐらいたっただろうか。会議室は物音ひとつなく静かだ。
少しずつ頭を上げてみる。いたるところに兵士が倒れている。しかし皆生きているようだ。
大統領は相変わらず席に座っている。まったく動揺していない。
入口から男が一人入ってきた。大統領のほうに向かっている。
少し会話すると2人は席を立って会議室を出て行った。

救護班が来たのはその3分後だった。


西暦2115年 10月 16日
ペルシャール・ミースト


ふう・・・
死ぬかと思った。

ハイドリッヒからクーデターの事を知らされたときはマジで驚いたが、対応策を考えていると言われたので胸をなでおろした。が、あえて暴発させようといわれた。その後、必死に動揺するのを抑える練習をした。
会議室ではマジで怖かった。正直銃を向けられたときはマジで死ぬかと思った。

俺は今鎮守府(元大統領館)の自室にいる。そして目の前にはハイドリッヒがなんかしゃべっている。
”クーデターに参加した奴は皆公開処刑にしましょう”とか”もういっそ君主制にしたらどうですか”とか、マジで恐ろしいことを平然と話している。あこがれもしないし、しびれもしない。

「ハイドリッヒくん。そんな全員処刑にしなくても・・・」
「では主だったものだけを処刑し、他は全員永久労働とします」
「いや、そういうわけじゃなくて・・・」
「まだ小官はやるべきことがあるので失礼させていただきます」
え、あの、ちょっと・・・

行ってしまわれた・・・

・・・君主制・・か・・・

世界を統一したら・・・君主制・・・


[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ