本編
第十五話 クーデター
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づいて国を動かしてきましたか?」
そういうことか。
大統領が”戦災孤児育成法””専制主義排除法”を廃法にしたのも税率を5%減税したのも、教育予算を増やし高校まで無料にしたのもすべて市民の許可を得ていない・・・
一部は選挙を行って決めたものもあるが、大部分は大統領が評議会でいきなり提案して半ば強引に決めている。私たちも最初の頃は止めていたが、最近は市民からの支持が強いこともあって選挙はおろかまともに話し合うことがそう多くない。確かに大統領は重要なことを破っている。
しかし、それは国家を健全なものにするためのものであって国を不健全にしたわけではない。大統領がこうしていなければ、いまだに”戦災孤児育成法”や”専制主義排除法”も存在していただろう。これがなくなったおかげで何十、いや何百万の人々が助かったことか。
3分ほど経っただろうか。大統領が話し始めた。
「市民の意思、か・・・。彼ら市民は既に思考が半ば硬直している。例として挙げるが18年前の”モスクワ”の悲劇の後、政府は当初戦争を継続しようとしていた。そのときガルメチアス帝国の皇帝が死去し、帝国は3勢力に分かれて内乱がはじまろうとしていたからだ。あの時多少無理をしてでも攻勢をかけていればあの戦争は我々の勝利で幕を閉じただろう。しかし、そうはならなかった。核攻撃に怖気づいた市民が戦争中止のデモを各地で起こしたからだ。それにつられた一部の政治家が”財政が持たない”という事を理由にクーデターを起こそうとした。これを知った戦争続行派はやむおえず戦争をやめ、帝国と講和した」
あの頃のことは今でもたびたびテレビでやっている。しかし公式には”財政が破たんする”ということが講和の理由であるといわれている。
「まったく・・・兵士がいくら死のうとも何も言わないくせに非戦闘員が死ぬとすぐに騒ぎ立ててくる。今だって各地では散発的にデモや暴動が発生している。それもすべて軍関係の施設に、だ。2週間前の横須賀空襲だって市民が暴動を起こしてその対応に追われていて迎撃が遅れたのが原因だ。」
大統領の言うことは恐らく正しい。第三次世界大戦でも非戦闘員が死ぬたびに大規模なデモが起こったといわれている。市民は長らく戦争が続いていたせいで軍人が死ぬのが当たり前になっているのではないのか。自分たちで考えることをやめてしまっていないか。
そう考えているのだろう。
「・・・もはや何を言っても無駄のようですな。もう・・こうするしか・・・」
突然会議室に十数人の兵士がドアを破って入ってきた。
「なんだ君たちは!いまは会議中だぞ!!」
クロスムが叫んだ。しかしすぐに兵士に両腕を捕まえられ、テーブルに押さえつけられた。
他の委員長らも兵士たちに押さえつけられている。私もだ。
しかし、情報交通委員長のモーラムと法秩序委員長のワ
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