第4話 宇宙のデブリ
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メです。こちらはお近づきの印にと」
引っ越した時の定型文で冷静さを繕い、『ハロクッキー』を渡す。すると少女の目がキラキラと輝き始めたような気がする。
「わたしはコヒメ・アズサ。………これ、本当にいいの?」
「あ、ああ。じゃあ、これで………」
「ありがとう。あなたも聖竜学園の新入生?」
「ああ。となると、君もか」
「一人暮らしでこのアパートを借りるなら聖竜学園の生徒以外あり得ないから」
そうなのだ。サンジョウ氏の要望で高校に入学することまで条件に入れられてしまったのだ。
一応15歳ながら高校終了過程は取っているのだが、学費すら出してくれるらしいのでお言葉に甘えることにした。
「じゃあ、また明日よろしくね」
「そうだな。また会おう」
握手をしてから別れる。見かけは取っ付きにくい感じだったが、意外と気さくな性格なのかもしれない。
(と、それより本命のアリサに挨拶しないとな)
サンジョウ氏の娘さんは201号室なので自分の部屋を通り過ぎ、隣の扉のインターホンを押す。
「………留守か」
しかし出掛けているのか出てくる様子はない。肩透かしを食らった気分になったが、いつ戻ってくるかも分からないので一旦諦め、自分の部屋に戻る。
「………高校生活か」
ベッドに寝っ転がり、真っ白な天井を見上げる。
まさかガンプラの為に高校に入るとは思わなかった。が、気分が高揚するぐらいには楽しみでもある。親を失って以来、学校には行ってないからだ。
ガンプラバトルに勝つことで生活費を稼いでいた毎日。けれど大尉やガンプラ心形流の師範などに会ってからの毎日は苦しくとも楽しいものだった。
実力を示し、相手と全力を尽くして戦う。その楽しさを教えてもらったのだ。
(だから、あのガンダムだけは………)
手を伸ばし、握り込む。自身の運命を変えたあのガンプラは。
「………ちょっと気晴らしに戦りに行くか」
沼に沈み込みそうな意識を振り払って起き上がる。棚から青を基調としたガンプラとGPベースを取り、軽装で部屋を出る。
一階に降りると、登る時には気がつかなかった貼り紙が見えた。
「『一階奥にバトルフィールド完備!』………どうして一アパートに有るんだよ………」
何となく気が抜けたような気がする。
▽
「さて何をやるか………」
GPベースとガンプラをセットして対戦方式を選択する。少し悩んだ後、最近試験導入されたオンラインでの1対1を選択する。
登録してから十数秒後には対戦相手とマッチしてフィールドが形作られる。
フィールドはコロニー内。高度によって重力が変わってくるので注意が必要だ。
「アストレイブルーフレームDT。目標を破壊
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