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リリなのinボクらの太陽サーガ
SEED編 旅立ち
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から退避。その瞬間、ガソリンに引火した自動車は大爆発を起こし、爆風に一瞬足がすくわれそうになるものの、どうにか逃げ切る事は出来た。まるでこの少女が助かるまで炎を抑えていたかのような……、……流石にどうだろうな。都合のいい美談はフィクションの中だけで十分だ。

「そこの少年! 大丈夫ですか!!」

とりあえず……駆け付けてきた青い髪の女性管理局員に、こちらの保護を頼むとしよう……。アルザスの一件も含め、この一時間だけで酷く疲れてしまった……。







管理局ミッドチルダ地上本部。俺がリーゼ姉妹と向かうはずだった場所に、どういう訳か彼女達の案内も無く、関係ない理由が連続で重なった事で到着してしまった。そして俺の目の前には、家族の死を悲しみながらも、しつこいぐらい礼を繰り返して来たオレンジ色の髪の青年がいる。

彼の名は“ティーダ・ランスター”。先程の少女、“ティアナ・ランスター”の兄らしい。

「妹を助けてくれて、本当にありがとう……君が駆け付けてくれなかったら、俺は何も知らないまま全て失っていた所だった」

「銀行強盗が脱出に使った暴走トラックとの衝突事故……しかも銃撃戦に運悪く巻き込まれて父親が即死したのが原因か。相変わらず対応が遅いな、管理局は」

「全くだ……失ってからじゃ何もかも遅いのに、うちの上層部と来たら! 面子やプライドばっかり気にして、被害に遭った人の事なんか全然考えちゃいない! 俺が別の場所でこの事件の犯人を捕まえる包囲網に加わっていた時に、上は家族が事故にあった連絡を寄越そうとしなかった! 犯人逮捕にばかり目を向けて、救助部隊の到着を遅らせたんだ! ランスターの弾丸は守るために存在するってのに! チクショウ……チクショウ!!」

「………………ならば今度こそ、自分の手で守れ。おまえの弾丸が守るべき者のために存在するのなら、誰かの思想や思惑じゃない、自分の信念に従って行動するんだ」

「ああ……! 俺は……絶対に守り切って見せる! 妹だけじゃない……俺達のような目に遭った人たちが、これ以上悲しまなくていい様に俺は戦う! 戦い抜いて見せる!!」

両親を失った事で、これから彼の手で妹を養っていく事になるが、この覚悟を見ていた俺は彼なら問題なくやっていける気がした。もっとも、突撃し過ぎて返り討ちにされる可能性も無きにしも非ずだが、その時に残された妹がまともでいられるか正直心配だ。

待合室を出ると、俺をここまで連れてきた青髪の女性が様子を見に来ていた。ちなみに“ムーンライト”で同行したため、バイクはここの駐車場に停めている。

「初めまして、改めて自己紹介しておきます。私はクイント、クイント・ナカジマ。所属は首都防衛隊で、階級は陸曹……まあいいや。それより君……え〜っと……」


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